アトピー性皮膚炎 九州大学医学部皮膚科学教室TOPへ
食物アレルゲン除去食療法
研究分担者 濱崎雄平 佐賀大学医学部小児科教授
研究協力者 山本修一 佐賀大学医学部小児科講師
研究協力者 市丸智浩 佐賀県立病院好生館小児科部長
要旨 はじめに 研究目的 方法 結果 考察 結後 参考文献
食物アレルゲン除去食療法評価表一覧
評価表の見方
評価法の見方
考察
1) 既存のアトピー性皮膚炎に対する食事療法
食物アレルギーの関与するAD乳児の皮膚症状に対する食物アレルゲン除去療法のエビデンスは、前回までの検討(2003年分まで)により、すでに確立していると考えられる。今回の検討では、乳児ADの治療において、ミルクアレルギー乳児の代替ミルクとしてはヤギ乳に比べロバ乳の有用性が示された。また加水分解乳はアミノ酸乳と同等の効果があることも示された。一方、食物アレルギーの診断のないAD児におけるミルク除去、あるいはアミノ酸乳の使用は皮膚症状改善の効果がないことが示され、このことはすなわち食物除去を行う場合、その食物に対するアレルギーの診断が必要であることを示唆していると考えられる。
ADの症状に対するprobioticsの効果については、一定の結論を導くことはできない。これはprobiotics投与対象、投与方法、投与菌種などの条件の違いによる可能性があると思われる。今後の研究の展開に期待したい。成人ADに対するDHAの効果は期待できるがこれも同様に今後の研究を待ちたい。

2) アトピー性皮膚炎発症予防を目的とした食事療法
アレルギー疾患発症ハイリスク児およびその母乳を与える母親における、牛乳、鶏卵を含む多数の食物の厳格な食物制限は、AD発症を抑制する可能性は高い。しかしながら、現実にはこのように厳格な食物制限を実施するのは困難であると思われ、制限品目の削減などの検討が必要であると考えられる。
probioticsのAD発症予防効果については意見が分かれるものの、否定的な報告が多く見られた。prebioticsの効果についても、使用したprebioticsの違いもあり、現時点では結論を導くことはできない。

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