慢性疾患であるアトピー性皮膚炎は良くなったり悪くなったりを繰り返しますので、長期間にわたり受診する必要があり、医師とのコミュニケーションが治療効果にも影響を及ぼします。しかしお互いの考えが理解できずに治療に支障が出ている場合もあります。正しい受診の仕方を含め、医師とどのようにコミュニケーションをとっていったらよいのかを考えてみましょう。
医 師 | 患 者 | |
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(1)治療目標 | ●日常生活に支障がない程度寛解 ●ずっと付き合っていくしかない。 |
●体質改善し、一日も早く皮疹の出ない状態になりたい。 |
(2)治療 | ●ステロイド外用薬を処方しても患者は塗らない。 |
●ステロイド外用薬は怖いのでできれば塗りたくない。 |
このように医師と患者で治療目標や治療方針に相違がある場合、お互いに不満を持ったままだと納得のいく治療ができていない場合があります。そこでお互いに話し合い、理解をしていくために次のような話し合いをしていくのはいかがでしょうか。
アトピー性皮膚炎は遺伝子の異常によるバリア機能不全によるものなので、体質自体を変えることはできませんが、良い状態を保つことによって、日常生活に支障がない程度に改善することができます。皮疹が出てくることもありますが、その都度治療していけばそんなに悪化することなく保つことができます。
体質から変えることはできないのですね。でも今のように全身がひどい状態が続くと気持ちも落ち込みますし、仕事もできなくなってしまうので、日常生活に支障がない程度にまずはなりたいです。ずっと付き合っていくと思うとつらいですが、今よりよくなれば良いかなと思います。
ではまずは今のひどい炎症を抑えて、仕事にいけることを目標に治療していきましょう。
ステロイド外用薬は50年以上の使用実績があり、作用も副作用も分かっている安全な薬です。外用薬で副作用が出ることはまずありませんが、診察の都度チェックもしますので、今の皮疹を良くするために、処方した薬を朝晩2回きちんと塗ってください。
診察のときに皮膚をチェックしていただければ、副作用の心配もないのですね。どんな副作用が起きるか不安だったのですが、先生に診ていただければ安心です。今の状態はつらいので、まずは先生のいうとおりにやってみようと思います。どこに何をぬればよいのか教えて下さい。
では今日処方する薬の塗り方を説明しますね。良くなったら薬の量も減らせますので、最初はベタベタするかも知れませんがたっぷりと塗ってみて下さい。これで良くなったらその状態を保つために保湿剤に変えることもできますのでがんばって治療していきましょう。
当会へ「よいお医者さんを紹介してください」というお電話がよくありますが、「良い医師」というのは皆さんそれぞれ違うのです。テレビや雑誌に出ていた有名な先生にかかれば治るというものでもありません。慢性疾患であるアトピー性皮膚炎の主治医はご自身が質問しやすく、それに対して納得できる回答があり、信頼関係を構築して治療していける主治医が一番です。どのような先生なのか、どのような治療をするのかはかかってみないとわかりません。まずはご自身が通院しやすい、皮膚科専門医のいる病院やクリニックに行って診察を受けてみて相性が合うか、納得のできる治療をしてもらえるかなどを確認してください。
アトピー性皮膚炎の診察では、患部を見せることが大切です。皮疹の状態を医師が確認することによって重症度を判断し、適切な外用薬を処方することができるからです。またステロイド外用薬の副作用も皮膚に出るものがほとんどなので、医師に副作用の確認をしてもらうことで安心して使うことができます。
また、次のことに留意し、医師とのコミュニケーションをよくして、納得のできる治療を受けましょう。
医師の前に出ると緊張してしまい、今までの経過や聞きたいことが話せなくなってしまうという方は「かゆみ日誌」を書いて、そのまま医師にみせると効果的です。症状の変化や「顔がひどくて外へ出るのがつらい」などのそのときの気持ちも書いて見せると医師にわかってもらいやすいです。
当会の「かゆみ日誌」参照
http://www.allergy.gr.jp/assets/doc/kayumi-diary.pdf