アトピー性皮膚炎 九州大学医学部皮膚科学教室TOPへ
シクロスポリン内服療法
竹原和彦1)、越後岳士2)
1)金沢大学大学院医学系研究科皮膚科、2)金沢大学医学部附属病院皮膚科
要旨 はじめに 研究目的 研究方法 結果 考察 参考文献
シクロスポリン内服療法評価表一覧
評価表の見方
評価法の見方
考察
シクロスポリンは比較的新しい免疫抑制剤であり、アトピー性皮膚炎に対する試験は1990年代に欧州、特にイギリスを中心に行われてきた。これまでにRCTは世界で約8本報告されておりシクロスポリンの有用性が示されているが、ほとんどが従来の製剤(サンディミュン®)を用いたものであり、MEPC製剤(ネオーラル®)を用いることにより早期から吸収が安定し、さらに明確な効果が現れると考えられる。これまでにステロイドの全身投与との比較はされていないが、シクロスポリンは重症のアトピー性皮膚炎に対する有用性のEBMは明確であり、2003年12月現在、世界60カ国以上で承認されている。
従来のデータでは乾癬と同様に有効性が確立しているが、中止による再燃は乾癬と同様であり、シクロスポリン単独にて治療するには間歇投与を繰り返す長期投与を行わざるを得ない。しかし、臨床応用にはいくつかの課題が残されており、腎機能障害や高血圧などの一定の全身的リスクを伴う薬剤であることから、長期投与の際には、血中トラフレベルの測定、血圧、腎機能の定期的検査が重要である。また、長期投与に伴う免疫抑制状態の持続により、発癌や種々の感染症の合併も問題となる。従って、紅皮症化など急性増悪の危機を乗りきる目的で使用するのが最も適しており、皮膚症状が軽快したら通常の外用治療に切り替える、即ち寛解導入を目的とした使い方が望ましいと考える。薬価が高価なことからも、一定以上の重症例に限って投与期間を限定した適応が認められるべきであろう。
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