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除去食療法のRCT検討では、乳幼児、幼児で、食物アレルゲン感作や誘発があるアトピー性皮膚炎例において、除去食療法の皮疹改善効果がみられるものが多い。厳密なRCTは少ないが、一定の除去食治療効果が評価される。除去期間中よりも、非除去期間における皮膚炎悪化による脱落例が多く、除去食による有害事象はこれまでのRCT研究ではみられていない。効果なしとする論文ではさらに脱落率がたかく、non-selectiveな対照での除去食効果はみられないが、これらの中でも介入効果例では食物アレルゲンの関与が示唆されている。
リスク児における母子の除去食によるAD予防効果については、多くの研究がみられるが、妊娠中の除去食による児のアトピー性皮膚炎発症に対する予防効果のエビデンスはみられておらず、欧州小児アレルギー学会や米国小児科学会ではこの時期の除去を勧めていない(米国でピーナッツのみは妊娠中からの除去が勧められている)33)。生後授乳期間における除去食と母乳、分解乳では、リスク児の予防効果が評価されている。米国では、リスク児での授乳期の卵、牛乳、魚、ナッツ除去が勧められているが、欧州ではこの授乳期の予防効果に対し充分なエビデンスがないとし、離乳開始を5ヵ月以降に遅らせる以外は除去を勧めていない。
アレルゲン除去食による治療効果研究では、食物アレルゲンが単一でなく、日常食生活に関わるため脱落例も多くなり、薬物のように定量的でなく、一定期間つづける二重盲検法が施行しにくいこと、効果の期待される対照が小児であり、自然軽快しやすいことからEBM評価対象となる臨床研究が行いにくいと考えられる。また、小児における除去食療法における問題点として、重症AD小児における除去食中の再度のアレルゲン食導入時のアナフィラキシーショック、不適切除去食による健康被害が報告されており、治療導入の適応症例を十分考慮した研究が必要である。 |
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