アトピー性皮膚炎 九州大学医学部皮膚科学教室TOPへ
食物アレルゲン除去食療法
柴田瑠美子、手塚純一郎
*国立病院機構福岡病院小児科
要旨 はじめに 研究目的 方法 結果 考察 結後 参考文献
食物アレルゲン除去食療法評価表一覧
評価表の見方
評価法の見方
はじめに
乳幼児のアトピー性皮膚炎においては、高IgE血症と食物プリックテストや特異IgE抗体陽性を示すことが多く、食物アレルゲン関与の可能性が示唆されてきた。これらの食物アレルギーの確認には二重盲検食物負荷試験が1978年(Bock,&May)より行われ、即時症状だけでなく遅延型症状が30〜50%に確認されている。1996年(Solauriら)からは3歳以下のアトピー児における食物パッチテストと二重盲検食物負荷試験がよく相関することが多数報告されてきている。また、血清中や母乳中に食物抗原のアレルゲンが検出されることは、1988年頃から明らかにされ、母乳栄養中の母親の摂取した牛乳のβラクトグロブリンが、母親の母乳中および哺乳した児の血清中に検出され、母親の牛乳除去での湿疹改善、再負荷による湿疹悪化が認められている。 
このように食物アレルゲンが関与するアトピー性皮膚炎症例があることは明らかであるが、アトピー性皮膚炎が本来の皮膚バリアーの異常と食物以外の多くの環境要因の影響を受ける疾患であること、ステロイド外用剤のみで皮膚炎は著明に改善することから、アレルゲン除去食による治療効果の評価は困難な場合が多く、現在でも論議の多い所である。近年、わが国ではステロイド外用剤に対する忌避的な傾向が広まり、厳格除去食など極端な治療や母親による乳幼児での除去食が安易に行われるなど、成長期の乳幼児の栄養学的な問題、母親の育児不安を引き起こすことがあり、アトピー性皮膚炎における除去食療法のEBM評価が必要である。
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