外用薬の適量と使い方のポイント | 医師の視点で考えるアトピー性皮膚炎 | アトピー性皮膚炎ってどんな病気?

外用薬の適量と使い方のポイント

外用薬の使用説明には「1日数回、適量を塗ってください」と書いてありますが、適量がどのくらいの量なのかは明記されていません。外用薬の適量については、下記の2つの方法を目安としてください。保湿薬、ステロイド外用薬、タクロリムス軟膏ともに、外用薬は必要十分な量を使用しなければ効果は得られません。

フィンガーチップユニット

人差し指の先端から第1関節まで、チューブから外用薬を押し出します。この人差し指の先端から第1関節までの量を1フィンガーチップユニットと呼びます。1フィンガーチップユニットの量で、およそ手のひら2枚分の面積に塗るのが目安です (図23) 。

図23 塗り薬の使用量の目安(フィンガーチップユニット)

5gチューブ1本で手のひら20枚分

5gチューブで、およそ手のひら20枚分の面積に塗れます(図24)。
全身に皮膚炎がある場合は、胸+腹部+下腹部で約5g、背中全体+おしりで約5g、左上肢+左下肢で約5g、右上肢+右下肢で約5gが適量の目安となるため、1回に20gすなわち5gチューブ4本を使用することになります。

図24 5gの目安

《外用薬を怖がらずに、適量を十分量使用することが大切》

ステロイド外用薬は怖いという気持ちから、少量しか使用しない患者さんが多くみられます。発疹が全身にあるにもかかわらず、ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏の使用量が1週間で5g以内という患者さんは決して少なくありません。
ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏を使用しても効果がないという訴えをよく耳にしますが、少ない使用量では皮膚炎を効果的に抑えることができないためです。治療が長引いたり、塗っているのに症状の勢いが止まらない原因の大半は、この不十分な使用量にあります。適量を十分量使用すると、効果がはっきりと得られますので、皮膚の炎症は軽快し、かゆみも軽減し、かゆみで目が覚めることなく夜もぐっすりと眠れるようになります。また、できるだけ早い時期に症状を良好にコントロールすることで、外用薬の減量もスムーズに行えるようになります。

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