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当科における臨床研究

SLE皮疹におけるオートファジー/LC3関連貪食作用
(LC3-associated phagocytosis: LAP)バランスと
AHRを標的とした新規治療法の開発

1.観察研究について

九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。患者さんの生活習慣や検査結果、疾病への治療の効果などの情報を集め、これを詳しく調べて医療の改善につながる新たな知見を発見する研究を「観察研究」といいます。その一つとして、九州大学病院皮膚科では、現在、SLE、および皮膚エリテマトーデスの患者さんを対象として、皮膚生検で取得した病理組織に関する「観察研究」を行っています。
今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局観察研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、2026年9月30日までです。

2.研究の目的や意義について

SLEという病気は、様々な症状が多臓器にでる病気ですが、皮疹を伴うことがある病気です。エリテマトーデスの皮膚症状を、皮膚エリテマトーデスと呼びます。原因のひとつに、皮膚で死細胞の増加や、除去できないことによって炎症が起きている可能性が言われており、主な症状としては、紫外線があたった部位に紅斑や、皮膚委縮が現れます。
皮膚エリテマトーデスの皮疹の治療法としては、主にステロイドの外用や、その他の免疫抑制剤の外用、ヒドロキシクロロキンの内服を用いるのが一般的です。この方法で多くの患者さんの症状が軽減されますが、全体の約4割の患者さんには、この治療法の効果が現れにくいという報告があり、より多くの患者さんに効果のある治療法の開発が求められています。

そこで、今回皮膚科では、SLEの新しい治療法の標的となる可能性がある分子を解明することを目的として、本研究を計画しました。本研究を行うことで、これまでの治療とは異なる皮膚エリテマトーデスに対する新たな治療法の開発を目指します。

3.研究の対象者について

九州大学病院皮膚科において2012年1月1日から2022年12月31日までに皮膚の診断で皮膚生検を受けられた方のうち、SLE、もしくは皮膚エリテマトーデスと診断された20名と、2012年1月1日から2022年12月31日までに皮膚生検された方のうち、カンファランスで正常皮膚、湿疹、酒さと診断されたそれぞれ10名を、比較の対象にします。

研究の対象者となることを希望されない方又は研究対象者のご家族等の代理人の方は、事務局までご連絡ください。

4.研究の方法について

この研究を行う際は、カルテより以下の情報を取得します。また、保管されている皮膚病理検体を用いて、免疫染色という方法で、治療の標的となり得る病理学的因子を検討します。検討結果と取得した情報の関係性を分析し、正常皮膚、および他の炎症性皮膚疾患である、湿疹、酒さと比較を行うことで、治療の標的となり得る病理学的因子のSLE皮疹、皮膚エリテマトーデスに対する影響を明らかにします。

〔取得する情報〕
年齢、性別、
血液検査結果(ANA, dsDNA,WBC, Hb, Plt, C3, C4)

5.個人情報の取扱いについて

研究対象者の血液や病理組織、測定結果、カルテの情報をこの研究に使用する際には、研究対象者のお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。研究対象者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野内のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。
また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、研究対象者が特定できる情報を使用することはありません。
この研究によって取得した情報は、九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野 教授 中原 剛士の責任の下、厳重な管理を行います。
ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。

6.試料や情報の保管等について

〔試料について〕
この研究において得られた研究対象者の血液や病理組織等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野において同分野 教授 中原 剛士の責任の下、5年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。

〔情報について〕
この研究において得られた研究対象者のカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野において同分野 教授の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。

また、この研究で得られた研究対象者の試料や情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えています。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。

7.利益相反について

九州大学では、よりよい医療を社会に提供するために積極的に臨床研究を推進しています。そのための資金は公的資金以外に、企業や財団からの寄付や契約でまかなわれることもあります。医学研究の発展のために企業等との連携は必要不可欠なものとなっており、国や大学も健全な産学連携を推奨しています。
 一方で、産学連携を進めた場合、患者さんの利益と研究者や企業等の利益が相反(利益相反)しているのではないかという疑問が生じる事があります。そのような問題に対して九州大学では「九州大学利益相反マネジメント要項」及び「医系地区部局における臨床研究に係る利益相反マネジメント要項」を定めています。本研究はこれらの要項に基づいて実施されます。

本研究に関する必要な経費は厚生労働省からの研究費を使用し、研究遂行にあたって特別な利益相反状態にはありません。
利益相反についてもっと詳しくお知りになりたい方は、下記の窓口へお問い合わせください。
利益相反マネジメント委員会
(窓口:九州大学病院ARO次世代医療センター 電話:092-642-5082)

8.研究に関する情報の開示について

この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。

9.研究の実施体制について

この研究は以下の体制で実施します。

研究実施場所 九州大学病院皮膚科
九州大学大学院医学研究院皮膚科研究棟
九州大学病院油症ダイオキシン研究診療センター
研究責任者 九州大学医学研究院皮膚科学分野 教授 中原 剛士
研究分担者 九州大学病院皮膚科 九州大学油症ダイオキシン研究診療センター 
助教 冬野 洋子

10.相談窓口について

この研究に関してご質問や相談等ある場合は、下記担当者までご連絡ください。

事務局(相談窓口) 担当者:九州大学病院皮膚科
    九州大学病院油症ダイオキシン研究診療センター 助教 冬野 洋子
連絡先:〔TEL〕092-642-5585(内線5585)(平日8:30~17:15)
          092-642-5586(夜間・休日)
    〔FAX〕092-642-5600
メールアドレス:fuyuno.yoko.206@m.kyushu-u.aac.jp

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