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アトピー性皮膚炎に対する心身医学療法は海外も含めてエビデンスが少ない。なかでもRCTはPubmedと医中誌では0件である。ここで挙げた論文の対象者数は100名以下であり、多施設大規模研究はほとんどなされていないと言ってよい。アトピー性皮膚炎で心身症を呈するものが少ないとは考えにくいので、これは皮膚科の心身医学療法をできる医師が日本だけでなく、海外でも少ないためと考えられる。また心身症患者に対する臨床試験の難しさがあるかもしれない。心理療法に関しては臨床心理士による報告があり、臨床心理士の役割は大きい。ただ保険診療を考えると経済的な問題が未解決である。さらに向精神薬になると治療は医師しかできないため、皮膚科医か精神科医、心療内科医の誰かが処方しなければならない。リエゾン的な診療は現実ではごく一部の施設しかできないと思われるので、できるだけ皮膚科医が処方できる知識を身につける必要があると思われる。大きなエビデンスを得るにはまだまだ時間がかかりそうである。 |
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