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アトピー性皮膚炎（atopic dermatitis；AD）は，増悪・寛解を繰り返す， 痒のある湿疹を主病変とする疾患である1。近年，アトピー性皮膚炎の頻度は世界的に増加していることが報告されており，また成人型のアトピー性皮膚炎の増加も指摘されている．治療法としては，アトピー性皮膚炎の炎症を速やかに，かつ確実に鎮静させる薬剤として十分に評価されているステロイド外用薬とタクロリムス軟膏を選択，あるいは組み合わせて使用することが基本であり，それに加えてスキンケアのための保湿剤使用や抗ヒスタミン剤などの全身療法が行われる．これらの治療法はガイドラインにより標準化されたものの，本症患者の中にはステロイド恐怖のためステロイド外用を拒否し，あるいは一旦医師の前では受け入れるも症状の改善に伴い自己判断にて治療を中止してしまう患者や，メディアにより大きく宣伝される様々な民間療法を行う患者が少なからず存在することも事実である．
そのような状況の中で，漢方方剤に対する期待値は確実に上昇してきている．アトピー性皮膚炎に対する漢方療法は，皮膚の状態に応じた治療である標治を基本とするが，症状を皮膚のみでなく体全体で捉えて，本来生体の持つバランスを改善させる本治を組み合わせることで，特に慢性化あるいは重症化したアトピー性皮膚炎に対して効力を発揮するものと考えられている．現在の日本の医療は西洋医学に立脚したものであるため，漢方療法は補完代替医療としての側面が強い印象があるが，日常診療に際して患者からの需要が増えてきているのは明らかである．そのため，治療の選択肢が増え医療の幅を広げることにつながることからも，漢方療法に関してもEBMによる評価の重要性が高まりつつある．そこで，前回のSR同様文献検索を行い，それらの批判的吟味に基づいて，アトピー性皮膚炎に対する漢方療法のEBMによる評価に取り組むこととした． |
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