プロアクティブ治療 | 医師の視点で考えるアトピー性皮膚炎 | アトピー性皮膚炎ってどんな病気?

アトピー性皮膚炎におけるプロアクティブ治療

主流になりつつあるプロアクティブ治療

アトピー性皮膚炎の外用療法には、症状が出たときに治療するリアクティブ治療と、症状の出る前から予防的に治療するプロアクティブ治療の2種類があります。再発の多いアトピー性皮膚炎の場合、リアクティブ治療ではうまくコントロールしにくいため、現在では、徐々にプロアクティブ治療が推奨されるようになってきました。

重症のときは外用薬を十分な範囲にしっかりと塗ります

皮膚症状が重症のときは、フィンガーチップユニットに従って十分量のステロイド外用薬・タクロリムス軟膏を塗る必要があります。たとえば、成人で全身に発疹があるときはステロイド外用薬1回20gの使用量で治療を開始します。かゆみが軽快し紅斑や苔癬化が軽快してきたら、隔日外用に移行します。

症状が軽快したあとも、外用の頻度を減らしながら治療を継続します

プロアクティブ治療で大事なことは、それまで炎症があったすべての部位、つまり症状がなくなった部位にも塗るのが鉄則です。使用量ですが、発疹は軽快しているわけですので、フィンガーチップユニットの1/2量か1/3量で大丈夫です。ですから、プロアクティブ治療では1回10g~7gで全身を覆うようにします。あらかじめ保湿薬を全身に塗っておくと、少ない量で全身にのばすことができます。このやり方で、隔日外用、週2回外用、週1回外用と減らしていきます。ステロイド外用薬を塗らない日はタクロリムス軟膏と保湿剤を塗るという方法も効果的です。タクロリムス軟膏がひりひりしたりほてったりする場合は、保湿剤だけの外用でも構いません。ステロイド外用薬をたくさん塗っているように感じるかもしれませんが、週1回外用であれば全身で1週間に10g~7gしか塗っていないことになり、しかもコントロールは良好ですので、非常に効率のいいことがわかると思います。個人差がありますが、1回5g以下で全身に薄く塗っても良好なコントロールを維持している人もいます。このようにステロイド外用間隔を徐々に開けていき、2週間に1回あるいは4週間に1回だけ、ステロイド外用薬を全身に5g塗るだけで良好にコントロールされている方もいます。

プロアクティブ治療中にも再発はあります

プロアクティブ治療で重要なことは、ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏を毎日外用して十分に良くなった後も隔日外用し、再発がなければ週2回外用、週1回外用と、ゆっくり減らしていくことです。もちろん途中で再発(再増悪)は起こります。その時はまたフィンガーチップユニットの使用量で十分に毎日外用します。プロアクティブ治療中の再発はすぐにコントロールできますので、隔日外用、週2回の外用にすぐに戻すことが可能です。なお、ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏を塗らない日でも、保湿薬の外用は毎日継続します。(図34

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