当科における臨床研究
当院患者における褥瘡発生に関する実態調査と予防ケアの効果
1.観察研究について
九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。患者さんの生活習慣や検査結果、疾病への治療の効果などの情報を集め、これを詳しく調べて医療の改善につながる新たな知見を発見する研究を「観察研究」といいます。その一つとして、九州大学病院褥瘡対策室では、現在褥瘡の患者さんを対象として、褥瘡発生に関する実態調査と予防ケアの効果に関する「観察研究」を行っています。
今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局観察研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、2024年3月31日までです。
2.研究の目的や意義について
褥瘡はさまざまな原因、疾患、生活習慣に合併して発生します。近年、厚生労働省は褥瘡対策に力 を注ぎ、各病院の褥瘡発生を減少させるべく、褥瘡対策委員会の設置を義務付けています。九州大学病院(当院)でも、褥瘡対策委員会の活動を通して、褥瘡の予防管理を実施してきました。今回の調査では、当院で発生した褥瘡の実態を調査し、発生にいたった諸要因や予防ケアの効果を解析し、褥瘡発生率低下に貢献したいと考えています。
3.研究の対象者について
平成29年4月1日~令和4年3月31日までに本院に入院または受診した方で、各部署の担当看護師より褥瘡の疑いがあると連絡を受けた方について皮膚・排泄ケア認定看護師や、皮膚科医師が褥瘡と判断した方1250名を対象にします。
研究の対象者となることを希望されない方又は研究対象者のご家族等の代理人の方は、事務局までご連絡ください。
4.研究の方法について
本院に入院、または受診した患者さんを対象に褥瘡を有する方について、カルテより以下の情報を取得し、毎月集計し本院に報告します。
〔取得する情報〕
年齢、性別、基礎疾患、入院病棟、褥瘡発生部位、褥瘡の重症度、皮膚の水分量、皮膚脆弱性、褥瘡の転帰、褥瘡発生日、褥瘡治癒日、手術患者の場合は術式と手術時間、麻酔時間、手術体位等、医療関連機器圧迫創傷の原因となった医療関連機器、スキン-テアの有無。
また、医療関連機器圧迫創傷予防ケアとして、フィックスキットPV・クッション付き®やレストンを使用開始したため、その後の褥瘡発生数や褥瘡の深さについて1年ごとに集計します。
この研究を行うことで患者さんに日常診療以外の余分な負担が生じることはありません。
5.個人情報の取扱いについて
研究対象者の測定結果、カルテの情報をこの研究に使用する際には、研究対象者のお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。研究対象者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学大学院褥瘡対策室のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。
また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、研究対象者が特定できる情報を使用することはありません。
この研究によって取得した情報は、九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野・教授・中原剛士の責任の下、厳重な管理を行います。
ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。
6.試料や情報の保管等について
〔情報について〕
この研究において得られた研究対象者のカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学病院褥瘡対策室においての九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野・教授・中原剛士責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。
7.利益相反について
九州大学では、よりよい医療を社会に提供するために積極的に臨床研究を推進しています。そのための資金は公的資金以外に、企業や財団からの寄付や契約でまかなわれることもあります。医学研究の発展のために企業等との連携は必要不可欠なものとなっており、国や大学も健全な産学連携を推奨しています。
一方で、産学連携を進めた場合、患者さんの利益と研究者や企業等の利益が相反(利益相反)しているのではないかという疑問が生じる事があります。そのような問題に対して九州大学では「九州大学利益相反マネジメント要項」及び「医系地区部局における臨床研究に係る利益相反マネジメント要項」を定めています。本研究はこれらの要項に基づいて実施されます。
本研究に関する必要な経費は講座寄付金であり、研究遂行にあたって特別な利益相反状態にはありません。
利益相反についてもっと詳しくお知りになりたい方は、下記の窓口へお問い合わせください。
利益相反マネジメント委員会
(窓口:九州大学病院ARO次世代医療センター 電話:092-642-5082)
8.研究に関する情報の開示について
この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。
9.研究の実施体制について
この研究は以下の体制で実施します。
研究実施場所 | 九州大学病院褥瘡対策室 |
研究責任者 | 九州大学病院 皮膚科 講師 伊東孝通 |
研究分担者 | 九州大学病院看護部 看護部長 濱田正美 九州大学病院看護部 褥瘡対策室 副看護師長 立花由紀子 九州大学病院看護部 褥瘡対策室 宮﨑敬子 九州大学病院看護部 褥瘡対策室 大重まどか |
10.相談窓口について
この研究に関してご質問や相談等ある場合は、下記担当者までご連絡ください。
事務局(相談窓口) | 担当者:九州大学病院看護部 褥瘡対策室・副看護師長・立花由紀子 連絡先:〔TEL〕092-642-5193 〔FAX〕 メールアドレス:tachibana.yukiko.135@.m.kyushu-u.ac.jp |