当科における臨床研究
進行期悪性黒色腫に対する術後補助療法後に関する観察研究
1.臨床研究について
九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。このような診断や治療の改善の試みを一般に「臨床研究」といいます。その一つとして、九州大学病院皮膚科では、現在皮膚腫瘍や難治性皮膚疾患の患者さんを対象として、病気の病態や治療効果に関する「臨床研究」を行っています。
今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局臨床研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、令和5年3月31日までです。
2.研究の目的や意義について 〔研究計画書3.研究の目的及び意義〕
根治切除できた悪性黒色腫に対して、これまでは術後特に治療はせず経過観察のみ行うというやり方が主流でした。しかし近年、ステージ3(リンパ節転移あり)やステージ4(遠隔転移あり)の患者さんに対し、手術後にPD-1阻害剤(ニボルマブ、ペムブロリズマブ)やダブラフェニブ+トラメチニブ併用療法を1年間行うと再発のリスクが減少することが海外から報告され、本邦でも2018年以降保険診療としてこれらの薬剤を使用した術後補助療法が可能になりました。しかし、日本の患者さんにも本当に効果があるかどうかはまだ十分にわかっていません。
そこでこの多施設共同研究では、BRAF阻害剤を使用した患者さんの臨床データを集積し、より良い治療のための診療情報を得ることを目的としています。
3.研究の対象者について 〔研究計画書5.研究対象者〕
九州大学病院皮膚科において2018年4月から2020年12月31日までに術後補助療法としてPD-1阻害剤(ニボルマブ、ペムブロリズマブ)やダブラフェニブ+トラメチニブ併用療法を受けた患者さん10名を対象としています。
4.研究の方法について 〔研究計画書6.研究の方法〕
この研究を行う際は、カルテより以下の情報を取得します。
〔取得する情報〕※研究計画書に記載の項目と統一すること
① 臨床所見(年齢、性別、身長、体重、病歴に関する情報、臨床症状)
② 血液所見(CBC、白血球分画、肝腎機能、CRP、その他の血清学的検査値)
③ 病理学的所見(免疫組織学的所見)
④ 治療(術始期・投与薬剤)
⑤ 治療反応性・予後
5.個人情報の取扱いについて 〔研究計画書12.個人情報の取扱い〕
研究対象者のカルテの情報をこの研究に使用する際には、研究対象者のお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。研究対象者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学大学院医学研究院皮膚学分野内のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。
また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、研究対象者が特定できる情報を使用することはありません。
この研究によって取得した情報は、九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野・教授・古江 増隆の責任の下、厳重な管理を行います。
6.試料や情報の保管等について 〔研究計画書13.試料・情報の保管等〕
〔試料について〕
この研究において得られた研究対象者の血液や病理組織等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野において同分野・教授・古江 増隆の責任の下、5年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。
〔情報について〕
この研究において得られた研究対象者のカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野において同分野・教授・古江 増隆の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。
また、この研究で得られた研究対象者の試料や情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えています。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。
7.利益相反について
九州大学では、よりよい医療を社会に提供するために積極的に臨床研究を推進しています。そのための資金は公的資金以外に、企業や財団からの寄付や契約でまかなわれることもあります。医学研究の発展のために企業等との連携は必要不可欠なものとなっており、国や大学も健全な産学連携を推奨しています。
一方で、産学連携を進めた場合、患者さんの利益と研究者や企業等の利益が相反(利益相反)しているのではないかという疑問が生じる事があります。そのような問題に対して九州大学では「九州大学利益相反マネジメント要項」及び「医系地区部局における臨床研究に係る利益相反マネジメント要項」を定めています。本研究はこれらの要項に基づいて実施されます。
本研究に関する特別必要となる経費はなく、研究遂行にあたって特別な利益相反状態にはありません。
8.研究に関する情報や個人情報の開示について
この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。
また、ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。
9.研究の実施体制について 〔研究計画書2.実施体制〕
この研究は以下の体制で実施します。
研究実施場所(分野名等) | 九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野 九州大学病院皮膚科 |
研究責任者 | 九州大学病院皮膚科 講師 伊東 孝通 |
研究分担者 | 九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野 助教 大野 文嵩 |
共同研究施設及び 試料・情報の 提供のみ行う施設 |
施設名 / 研究責任者の職名・氏名 | 役割 |
①東北大学 皮膚科 講師 藤村 卓 ②東京都立駒込病院皮膚腫瘍科 部長 吉野 公二 ③筑波大学 皮膚科 准教授 藤澤康弘 ④自治医科大学 皮膚科 准教授 前川 武雄 ⑤名古屋市立大学 皮膚科 講師 加藤 裕史 ⑥京都大学 皮膚科 准教授 大塚 篤司 ⑦和歌山県立医科大学 皮膚科 准教授 山本 有紀 ⑧九州がんセンター 皮膚科 医長 内 博史 ⑨鹿児島医療センター皮膚科 科長 松下 茂人 |
収集・解析 情報提供 情報提供 情報提供 情報提供 情報提供 情報提供 情報提供 情報提供 |
10.相談窓口について 〔研究計画書2.実施体制(事務局)〕
この研究に関してご質問や相談等ある場合は、事務局までご連絡ください。
事務局(相談窓口) | 担当者:九州大学病院皮膚科 講師 伊東 孝通 連絡先:〔TEL〕092-642-5585(内線5585) 〔FAX〕092-642-5600 メールアドレス:takamiti@dermatol.med.kyushu-u.ac.jp |