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油症検診 油症検診でのチェック項目
油症患者さんの治療は長期間にわたる経過観察が必要です。
症状や身体異常の経過をみるために、油症患者さんを対象に毎年油症検診が実施されています。
その年によって、以下のような検査、診察を組み合わせて行っています。
 
問診票 血圧測定 胸部レントゲン検査 尿検査  
血液検査 内科的診療 皮膚科的診療 眼科的診療  
歯科的診療 骨密度検査 婦人科的問診    
 
自覚症状
油症はさまざまな自覚症状を伴うことが知られています。ただし、その多くは油症だけにみられる特徴的なものではなく、日常生活のなかで誰もが感じるものであったり、他の病気でみられるものも含まれています。それゆえに、これらの症状は油症という病気を知らない人からは、しばしば「気の持ちよう」「不定愁訴:特定の病気とは関係のない症状」などといわれることがあります。
しかし長年の油症検診から、これらの内科的な症状は他の病気との区別は難しいものの、確かに油症によって引き起こされることが明らかにされています。症状の多くは徐々に軽快に向かいますが、今なお続いて患者さんに苦痛を与えているものもあります。
全身の症状
全身倦怠感 なんとなく体がだるいという方がかなり目立ちます。ただし、油症では倦怠感がだんだんひどくなるということはありません。
食欲不振 食欲の低下は、油症発症当時にかなり多くの方でみられました。今でも胃腸の症状を伴って食欲不振を訴える方があります。しかし、食欲不振が時間とともにひどくなる傾向はないようです。
頭重感 なんとなく頭が重い、頭痛がするといった症状は、油症の患者さんに共通してみられます。
体重減少 油症発症当時は他の症状を伴って体重が減る方が目立ちました。しかし、現在もなお体重が減少するということはまずありません。急に体重が減った場合は、別の病気を疑ってかかりつけの医師に相談することをお勧めします。
局所の症状
しびれ感 多くの方が「しびれ感」という表現をされますが、油症では感覚が鈍くなったり、逆に敏感になったりする方が目立ちました。これは、末梢の感覚をつかさどる神経の障害とされています。
関節痛 体のふしぶしの関節の痛みがみられます。多くの場合、一カ所だけでなく、全身のあちこちが痛むようです。
咳と痰 咳と、白っぽい「かたくり様」の痰がよくみられます。痰からはPCB類が排泄されています。
腹痛 よくお腹が痛くなることがあるようです。長年にわたって、同じくらいの程度で続いているものは油症によるものと考えられます。
下痢・便秘 下痢と便秘はあい反する症状ですが、油症ではしばしば下痢を繰り返す方と、逆に便秘に悩まれる方があります。ただし、最近になってこのような症状があらわれた場合は、別の病気を疑ってかかりつけの医師に相談することをお勧めします。
月経異常 女性の方では、油症発生当時、生理の異常(止まる、不規則になる)、不正性器出血が目立ちました。
しかし、閉経期以降の性器出血は油症以外の原因(子宮癌など)による事も考慮に入れて、婦人科の医師にご相談下さい。
油症発症から継続してみられる症状に関しては、油症によるものと考えてよいでしょう。一方、最近になってこのような症状があらわれた場合は他の病気の可能性が考えられますので、かかりつけの医師にご相談下さい。
   
  血液検査値のみかた
血液検査は肝機能・腎機能など各臓器の状態、感染の有無、免疫系疾患の有無など全身の健康状態を診断する目安となります。
イラスト ドクター
検査項目
検査の意味
血 沈 炎症や感染の有無を調べる検査です。貧血がある場合にも高くなります。




総タンパク 総タンパク、アルブミン、A/G比は栄養状態や肝臓、腎臓の機能を調べる検査です。肝機能や腎機能の検査と組み合わせて病気の診断をします。A/G比はアルブミンとグロブリンの比率です。
アルブミン
A/G比
GOT GOTは肝臓、心臓、筋肉などに、GPTは肝臓に、LDHは肝臓、心臓、筋肉、赤血球などに、ALPは肝臓、骨などに含まれる酵素です。異常の組み合わせ、程度により肝臓病や心筋梗塞などの病気の診断の参考にします。γ-GTPおよびLAPは飲酒により高くなることが多いのでアルコ−ル性肝障害の指標になります。また、GOT、GPT、γ-GTP、LAPは脂肪肝で高くなります。
GPT
LDH
ALP
(アルカリフォスファタ−ゼ)
γ-GTP
LAP
総ビリルビン 黄疸の原因となる物質です。肝臓や胆管に障害が起きると値が高くなります。体質性の黄疸でも高くなります。
直接ビリルビン
クンケル 慢性の炎症や肝臓病がある場合に値が高くなります。中性脂肪の値が高い時にも血液が濁るため高値となります。
チモ−ル
コリンエステラ−ゼ 肝臓で合成される酵素で、肥満や脂肪肝で高くなり、肝臓病や低栄養状態で低下します。
CPK 筋肉や心臓、脳などに含まれ、それらに異常がある場合に高くなります。
アミラ−ゼ 膵臓と唾液腺に多く含まれる酵素で、膵臓や唾液腺に異常がある場合に高くなります。
血 糖 血液中のブドウ糖の量を調べる検査です。高い時には糖尿病が疑われ、糖負荷検査などの精密検査が必要です。


総コレステロ−ル コレステロ−ルは細胞の大切な成分ですが、高い場合には動脈硬化の原因となります。HDL-コレステロ−ルは善玉コレステロ−ルとも言われ、血管に付着したコレステロ−ルを取り除き動脈硬化を予防する働きがあります。適度の運動により上昇し、喫煙、肥満により減少します。中性脂肪は肥満、糖尿病、アルコ−ルの飲み過ぎにより上昇し、高い場合には動脈硬化の原因となります。β-リポ蛋白は肥満や動脈硬化症がある場合に高い値を示します。
HDL-コレステロール
中性脂肪
β-リポ蛋白




尿素窒素 腎臓は血液をろ過して、尿素窒素やクレアチニンなどの老廃物を尿中に排泄したり、ナトリウムやクロ−ル、カリウム、カルシウムなどの電解質を調整しています。腎臓の機能が低下すると尿素窒素やクレアチニンが上昇したり、電解質のバランスが崩れます。電解質の異常は腎臓病以外の病気でもおこることがありますので、経過をみて精密検査が必要なことがあります。尿酸はアルコ−ルの飲み過ぎや、過食による肥満により上昇し、高い状態が続くと痛風や尿路結石、腎臓病をおこすことがあります。
クレアチニン
尿酸
Na(ナトリウム)
Cl(クロ−ル)
K(カリウム)
Ca(カルシウム)


白血球数

白血球数は体の中の炎症を調べる検査です。異常値の場合、白血球像を調べる必要があります。貧血は赤血球数や血色素量、ヘマトクリットが低い状態です。貧血がある場合には原因を調べ、適切な治療をすることが必要です。赤血球数等が多い状態を多血症といい、治療が必要な場合もあります。血小板は出血を止める働きをする血球です。血小板数が減少すると出血しやすくなります。血小板数は測定条件により数値が変動しやすい検査ですから、経過をみていくことが大切です。

赤血球数
血色素量
ヘマトクリット
MCV
(平均赤血球容積)
MCH
(平均赤血球血色素量)
MCHC
(平均赤血球血色素濃度)
血小板数
●その他の検査について
検査項目
検査の意味
尿



尿中の糖を調べる検査です。尿中の糖だけでは糖尿病の診断はできません。血糖を調べる必要があります。
蛋 白 腎臓病をみつける手がかりになります。発熱や疲労などでも一時的に陽性になることがあります。
潜 血 腎臓、尿管、膀胱、尿道に異常があると、尿に血液が混ざります。潜血が続く場合には泌尿器科で原因を調べる必要があります。
血 圧 血圧が高い状態が長期間続くと、脳卒中、心臓病、腎臓病などの病気を引き起こすことがあります。血圧が高い場合は、定期的に測定して経過をみることが必要です。血圧が高い状態が続く場合には塩分制限や薬物療法が必要になることがあります。




BMD(骨密度) 骨粗鬆症をみつける検査です。BMD(骨密度)は、骨のカルシウム量を表し、骨粗鬆症になると低下します。Zスコアは同年代の中で骨密度を比較した数値、YAM%は若年成人の平均値と比較した数値です。これらの数値が低い場合には、薬物療法が必要になることがあります。
Zスコア
YAM%
   
 
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