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九州大学皮膚科では第4期悪性黒色腫の患者様に対し「樹状細胞を用いた免疫療法」を行っています。
樹状細胞はプロフェッショナルな抗原提示細胞と呼ばれています。わかりやすく言うと、異物を取り込み、その一部(抗原)を細胞表面に提示して免疫担当細胞(リンパ球、特にTリンパ球)を活性化させるという役割を果たす細胞のことです。そういった働きにより免疫担当細胞は異物を識別し、攻撃できるようになります。
この治療法は樹状細胞を用いて免疫担当細胞にがん細胞を認識させ、攻撃させようとするものです。
具体的な方法は、まず血液成分分離装置を用いて、樹状細胞のもとになる白血球細胞(末梢血単核球)を採取します。それらの採取した細胞からプラスチック接着法を用い単球を分離します。その単球にGM-CSFとIL-4というサイトカインを加えて5日間培養し、未熟樹状細胞へと分化させます。その後、あらかじめ摘出しておいたがん細胞を未熟樹状細胞に取り込ませ、TNF−αなどのサイトカインを加え、成熟樹状細胞へと分化させます。
実際の治療は、そのようにして作成した成熟樹状細胞を皮膚(皮内)に注射します。するとそれらの樹状細胞はリンパ流に乗って所属リンパ節まで到達し、免疫担当細胞へ情報を伝え、がん細胞を排除する免疫反応を誘発させることができるのです。
治療のスケジュールは最初の1ヶ月間は毎週1回、樹状細胞を皮膚に注射します。その後はおよそ2週間に1回の割合で治療を継続します。通常一回の採取で8〜10回分の免疫療法が可能となります。
また最近ではがん細胞に対する免疫療法の効果を高める目的で樹状細胞を注射する前にシクロフォスファミドという薬剤を投与する方法も行っています。
なおこの治療法は九州大学倫理委員会により、方法が医学的に適切であり、患者さんの人権が守られていることが承認されております。
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■ 九大皮膚科で行っている樹状細胞療法の概略 |
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