掻くとますますかゆくなることを自覚しよう
かゆくてたまらないとき、掻いてしまうとそのまわりや他の場所が次々とかゆくなって、最初にかゆかったところ以上に掻いてしまうことがよくあります。この悪循環を自覚して、治療はちゃんと行いましょう。
入浴
体が温まるとかゆくなります。入浴はぬるめの湯で短時間にしましょう。シャワー浴の方がかゆみが少ないと思います。ナイロンタオルは使わず、やわらかいタオルや手でやさしく洗うようにしましょう。強くこすると皮膚炎は悪化し、かゆみがよけいに強くなります。
しっかり泡立てた石ケンであれば刺激が少なく、脂分をよけいにとり過ぎることはありませんので、掻き壊した部分も洗います。脂のたまりやすい眉間、小鼻のわきや、汗のたまりやすいわきの下や首、関節の内側などを中心に洗い、他の部位はさっと汚れを落とす程度にしましょう。
ミクロピュアタオルは通常のタオルよりも肌への刺激が少なく、使用後のかゆみが少ないことが知られています。
食事
アルコールはかゆみを増します。香辛料などの刺激物は避けたほうが無難です。他に、チョコレート・コーヒー・もち・砂糖・脂肪分などが、かゆみを悪化させる因子となる場合があります。個人差がありますので、思い当たる場合には控えてください。
睡眠
睡眠不足による悪化が明らかな場合は、生活リズムの変調をきたしている状態です。睡眠時間自体を問題にするのではなく、就眠の時刻をできるだけ一定にするよう心掛けてください。
衣類・寝具
皮膚を刺激する素材(ウールやチクチクする素材)の衣服や寝具は避けましょう。アトピー性皮膚炎の乳児では、母親がウールの衣服を着ていると、抱っこしているときに顔をこすりつけるので、顔の皮膚炎が悪化してしまいます。最近は、綿100%の肌に優しい保湿に優れた衣類や寝具なども手ごろな値段で売っています。また、下着の縫い目もこすれてかゆい時があります。このような場合、裏返して着るといいでしょう。
鉄フタロシアニンテトラカルボン酸で染色した繊維の下着(フタロシアニン下着)には、皮膚のかゆみを軽くする効果のあることが知られています。この繊維には、多くのアトピー性皮膚炎患者さんが過敏性を示す汗の成分(アレルゲン)を除去する作用もあることがわかりました。また、予備的な調査では、アトピー性皮膚炎の皮膚症状は17名中13名で、かゆみは18名中11名で軽くなりました。アトピー性皮膚炎の患者さんは、汗をかく時期にこの下着を着ることで、かゆみをやわらげることができる可能性があります。
洗剤
洗剤成分が衣類にできるだけ残らないようにしっかりすすぎましょう。最近の洗濯機は節水型が多いため、1回に洗濯する量を減らしたり、すすぎ回数を増やすのがいいでしょう。粉末洗剤とくらべて液体洗剤は溶け残りがなく安心です。また、洗濯によりダメージをうけた衣類が皮膚を刺激することもあります。
最近、特にすすぎ性を向上させて繊維に残りにくく、かつ洗浄力が高いことをうたっている液体洗剤や、衣類の傷みを低減し、皮膚と衣類の摩擦を抑える効果のある柔軟剤 (ケアベール洗剤・柔軟剤)が市販されました。これらを使用すると、洗剤が残りにくく、衣類の感触が良くなって、かゆみや皮膚の乾燥がやわらぐ患者さんもいるようです。
このように、毎日の洗濯を工夫することも、症状の軽減や治療の補助として役に立ち、快適な生活を送る一助になります。
▲ページトップへ
|