プロトピックは、免疫抑制薬です。プロトピック自体はステロイドよりも強い炎症を抑える作用を持っていますが、残念ながらステロイドよりも皮膚からの吸収が悪いのが欠点です。そのため、吸収率の高い顔や首の皮膚の炎症やかゆみにはとても効果的です。一方、皮膚からの吸収率の低い手足や胴体では、ステロイド外用薬の方が効果的です。アトピー性皮膚炎は、顔に発疹を繰り返しやすい病気です。強いかゆみと引っ掻きのために、顔全体が赤い患者さんをよく見かけます。強いステロイド外用薬を顔に継続して塗ると副作用がでやすいので、赤ら顔の治療にはとても困っていました。プロトピック軟膏の登場によって、赤ら顔の患者さんは激減しました。画期的なことでした。
プロトピック軟膏は、ジュクジュクがひどい場合や血が出るほど引っ掻いているところには塗ってはいけません。プロトピック軟膏は有効な薬なのですが、塗ったところがほてったりヒリヒリするのが最大の難点です。しかし、3日間ほど続けると慣れてきてヒリヒリしなくなります。ヒリヒリが強くてプロトピック軟膏を使用できない人は、10人に1人くらいです。ヒリヒリして塗ることができない時には、3日間ほどステロイド外用薬を塗って皮膚の炎症を弱めてからプロトピック軟膏を塗ると、ヒリヒリが少なくなります。また、保湿外用薬を塗ってすぐにプロトピック軟膏を重ね塗りすると、ヒリヒリが少なくなります。
さて、顔や首のかゆみや皮膚炎には、ステロイド外用薬よりもプロトピック軟膏の方がよく処方されるようになりました。効果もありますし、ホルモン作用による副作用がないからです。しかし、顔や首以外のところは、プロトピック軟膏だけでうまくコントロールできる人もいますが、それほど多くありません。プロトピック軟膏の吸収率が悪いために、プロトピック軟膏だけではかゆみを十分に抑えられず、ステロイド外用薬と一緒に使ってうまくコントロールしている人が多いのです。
プロトピック軟膏とステロイド外用薬を一緒に使うことにより、かゆみの抑制効果も高くなるとともに、お互いの使用量が少なくすんで、副作用も減ることがわかっています。
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