アトピー性皮膚炎の薬物療法は、対症療法(症状を抑えるための治療)です。薬物療法をすべて中止すれば、当然悪化します。治療前よりも悪化してしまうこともあります。通常の使用量ではステロイド外用薬の副作用を過度に心配する必要はありません。大切なことは、ステロイド外用薬、プロトピック軟膏、保湿外用薬を上手に使い分けて症状をコントロールし、かゆみがない落ち着いた状態を維持することです。もし、1ヶ月間のステロイド外用薬の使用量が2歳未満で15g以上、2歳以上13歳未満で20g以上、13歳以上で50g以上になった場合には、副作用がでていないかどうか主治医にしっかりとみてもらいましょう。ほとんどの副作用は、ステロイド外用薬の使用量が少なくなるともとの健常な状態に回復します。
アトピー性皮膚炎の薬物療法の基本は、下図のように、症状の強い時は適量のステロイド外用薬をしっかり塗り、症状が軽快したら保湿を主として、ステロイド外用薬やプロトピック軟膏はその日かゆかったところに1日1回塗ります。再び強い症状がでてきたら、適量のステロイド外用薬をしっかり塗ります。いつまでたってもステロイドの使用量が少なくならないと心配する必要はありません。それは、症状の軽い期間がだんだん長くなってくるからです。症状の軽い期間が延びてくると、ステロイドの使用量はとても少なくなってきます。
医師が考えているアトピー性皮膚炎の治療目標のめやすは、だいたい以下のようなことです。
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1) |
症状がない状態にする、あるいはあっても日常生活に支障がなく、薬物療法もあまり必要としない状態にする。 |
2) |
軽い症状は続くけれど、急に悪くなることはなく、悪くなってもその状態が続かないようにする。 |
つまり、治療の目標は”完璧=完治”ではなく、”普通の治療で普通の生活ができる”ことです。もちろん、目標は人それぞれで違いますし、同じ人でもその時々により変更が可能です。そうしていれば、知らずしらずのうちにアトピー性皮膚炎をコントロールできるようになっているはずです。
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