アトピー性皮膚炎 九州大学医学部皮膚科学教室TOPへ
ステロイド外用療法
大矢幸弘1)、野村伊知郎1)、須田友子1)、成田雅美1)、渡辺博子1)、赤司賢一2)、明石真幸1)、二村昌樹1)、松本美江子1)、小嶋なみ子1)、赤澤晃3)
1)国立成育医療センター第一専門診療部アレルギー科、2)東京慈恵会医科大学小児科、3)国立成育医療センター総合診療部小児期診療科
要旨 はじめに 目的と方法 結果 考察 結論 参考文献
イラスト:ステロイド外用療法
ステロイド外用療法評価表一覧
評価表の見方
評価法の見方
要旨
アトピー性皮膚炎治療におけるステロイド外用剤の効果と安全性に関して、文献を網羅的に収集吟味しエビデンスの水準の高い研究から得られた知見をまとめた。ステロイド外用剤は一部の弱いものを除けば大半がプラセボとの間に有意な効果の差があり、アトピー性皮膚炎の治療に有効であった。ステロイド外用剤同士の比較は多いが、論文ごとに使用条件が異なっているため、臨床効果に基づくランキングは不可能であった。非常に強いステロイド外用剤では1日の塗布回数は1回でも複数回でも有意差はなかったが、中程度のものでは寛解率に差があった。連日塗布では皮膚萎縮などの副作用が生じるが、強いステロイド外用剤(0.1%betamethasone valerate, fluticasone propionate)でもおのおの1日2回週3日あるいは週2回以下の間欠塗布であれば寛解を維持し副作用の回避が可能であった。ステロイド外用剤に抗生剤を添加してもアトピー性皮膚炎に対する治療効果は有意な改善はしなかったが、抗真菌剤の添加には効果が認められたという報告があった。ステロイド外用剤をウェットラップ法で使用した場合の前後改善率は有意であったが、ウェットラップ法自体の効果についての高いエビデンスはない。他の外用剤との比較では、タクロリムスを除けばステロイド外用剤に匹敵するような治療効果を確認できたものはなかった。保湿剤や行動療法の併用はステロイド外用剤の使用量を減らすことができる可能性があり、今後はより現実的な使用法に関する詳細なエビデンスを増やす必要がある。
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