研究代表者　古江増隆 研究協力者　吉村映里、竹内聡、江�ｱ仁一 九州大学大学院医学研究院皮膚科学講座 九州大学大学院医学研究院皮膚科学講座

PubMedでRCTとして検索された1報はおむつ皮膚炎に関する論文2であり、除外した。1報は単純にマラセチアに対するプリックテストに対する陽性率を示したもの3であり、SRからは除外した。そのほか、抗真菌剤の外用、内服加療に関する4報に関して取り上げた。医中誌では、AD患者においてスキンプリックテストや、特異的IgEを測定した比較試験が多数であった。ADと直接の関連性のないものなどを除外し、抗真菌剤による治療に関する2報をSRに取り上げた。 AD患者におけるカンジダや、マラセチアに対する特異的IgE抗体の測定や、プリックテストなどがこれまで多数報告されおり、皮疹の重症化にこれらのアレルギーが関与している可能性が示唆されている。アトピー性皮膚炎の患者では気管支喘息の患者と比較してもCandida albicans, Malassezia furfurの精製抗原に対する反応性が高く、半数以上で特異的IgE抗体が陽性であった4。皮膚に定着している真菌に関しての報告もあり、AD患者皮膚にはM.globosa, M.restricta, C. diffluens, C. liquefaciensの4種が定着している5と報告されている。現在マラセチアは11種の菌の存在が確認されているが、そのうちM.globosa, M.restricta を含めた8種に対する特異的IgE抗体をAD患者の血清で測定したところ、M.restricta の特異的IgE値が他のマラセチア菌より高かった6。M.restrictaについて、遺伝子多型に関しても検証されており、特定の遺伝子型を示す菌株がよりADの増悪に関与している可能性がある7。 ADに対する抗真菌剤での治療効果に関しては、プリックテストやRAST陽性患者で施行された抗真菌剤内服による加療では抗真菌剤の有効性が示された8、11。また、頭頸部の皮疹に対しての外用療法、内服療法いずれも皮疹の改善が得られている9、12。体幹部の抗真菌剤外用で皮疹の改善が得られた報告もあった13が、肘部などの皮疹に関して抗真菌剤の外用を追加して行われたRCTでは有効性は示されなかった10。元来頭頸部でマラセチアの分離率が高いことから、頭頸部の難治性の皮疹では抗真菌療法での治療効果がある可能性がある。