アトピー性皮膚炎の治療は増悪因子の検索と除去、スキンケア、薬物療法などが基本となりますが、これらは皮膚の炎症や乾燥状態を改善するいわゆる対症療法であり、アトピー性皮膚炎を根本から治癒させるものではありません。アトピー性皮膚炎の治癒は、あくまでも患者さん自身の自然治癒力によって徐々に症状が治まるものです。しかし実際には、ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏などの薬物対処療法により症状を鎮め、良い状態を保ちながら、自然治癒を待つのが最良の方法と言えます。症状を上手くコントロールすることが、自然治癒力の向上につながると考えられています。
8月28日(日)、「みんなで考えましょう アトピー性皮膚炎とのおつきあい」をテーマに、市民公開講座が開催されました。第1部は皮膚科および小児科の立場から、東京逓信病院の江藤隆史先生、国立成育医療センターの大矢幸弘先生よりご講演いただきました。また、第2部ではNPO法人アラジーポットの栗山真理子氏、NPO法人日本アレルギー友の会の丸山恵理氏にパネリストとしてご参加いただき、事前に寄せられた質問に対する具体的な説明や対処法などがディスカッションを交えて紹介されました。
このような市民公開講座は、主催者側のメッセージが伝わることなく終わることが多々ありますが、本講座はアトピー性皮膚炎との上手な付き合い方を、参加者の方々にできるだけ明確にお伝えし、理解していだくことを趣旨に開催したものです。