原因 | 医師の視点で考えるアトピー性皮膚炎 | アトピー性皮膚炎ってどんな病気?

アトピー性皮膚炎の原因基礎医学者からの一言

アトピー性皮膚炎の原因、あるいは症状を悪化させる要因(増悪要因)として、体質と身の回りの環境(環境要因)が考えられます。遺伝子解析の結果、遺伝的な要因として、皮膚のバリア機能遺伝子や免疫関連遺伝子が関与していることがわかっています。それほど強い遺伝ではありませんが、アトピー性皮膚炎が両親から子供に遺伝する場合は、こうした体質が遺伝するためと考えられます。

症状を悪化させる増悪要因としては、冬場の空気の乾燥、夏場の気温上昇、埃っぽい室内環境、受験・就職・寝不足などによるストレス、不規則な生活、合併する食物アレルギー、合併する花粉症などがあげられます。

《アトピー性皮膚炎と食物アレルギーの関係》

アトピー性皮膚炎と食物アレルギーは、ともにアレルギー疾患の仲間です。両方とも乳児期に発症しやすく、高頻度に合併します。ここで注意しなければならないのは、食物アレルギーがあるからアトピー性皮膚炎になるわけではないということです。アトピー性皮膚炎と食物アレルギーは別々に治療しなければなりません。たとえば、生後数週間でアトピー性皮膚炎が発症した場合はアトピー性皮膚炎の治療をしっかり行いますが、最初からむやみに母乳や人工乳を制限しません。むしろアトピー性皮膚炎をきちんとコントロールすることにより、離乳食が始まった時の食物アレルギーの発症が少なくなることがわかりつつあります。
食物アレルギーでは、離乳食を食べて30分後くらいから顔や全身にみみずばれのようなかゆみと赤みが出現します。日本では卵、牛乳、小麦、大豆による食物アレルギーの頻度が高いといわれています。アトピー性皮膚炎が重症でも、食物アレルギーを合併していないお子さんはたくさんいます。逆に、重症の食物アレルギーでも、アトピー性皮膚炎を合併していないお子さんもたくさんいます。食物アレルギーの確定診断は、症状の問診、食物アレルギーの血液検査・皮膚検査などで行います。
また、喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎など他のアレルギー疾患も、アトピー性皮膚炎に高頻度に合併します。これらも食物アレルギーと同様に確定診断を行い、アトピー性皮膚炎とは別々に治療を行います。

アレルギー疾患図解