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Unexpectedly long half-lives of blood 2,3,4,7,8-pentachlorodibenzofuran (PeCDF) levels in Yusho patients .

Matsumoto S et al., Environmental Health (2015) 14:76

従来、ダイオキシン類の生体内での半減期は10年から15年程度と報告されている。

筆者らは以前2001年から2006年の間に測定された油症患者における血中2,3,4,7,8-pentachlorodibenzofuran (PeCDF)濃度の半減期を検討し、血中PeCDF濃度が高いにもかかわらず、半減期が計算上無限大、つまり血中濃度が減少しない患者が多く存在することを明らかにした。

今回は2002年から2010年の間に測定された油症患者395人のPeCDF濃度の推移及び半減期が検討された。

健常人と差がないと考えられる30 pg/ml以下の血中PeCDF群では、血中濃度は不変かむしろ上昇傾向を示した。この群では食事から摂取するダイオキシン類の量と排出する量が概ね均衡していると考えられた。

血中PeCDF濃度が50 pg/mlを超える群では半減期が13.3年以下の割合は8%のみで、殆どの患者でPeCDF濃度は低下していないと考えられた。この割合は前回の報告(28.2%)より減少していた。

内 博史 2015/9/27

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