Journal Club

Identification of Cinnabarinic Acid as a Novel Endogenous Aryl Hydrocarbon Receptor Ligand That Drives IL-22 Production

PLoS ONE, 9(2), e87877, 2014

【要旨】

 AhRはハロゲン化芳香族炭化水素類と結合し、Th17細胞と制御性T細胞の両方を制御することで免疫系を調節していると言われている。また、AhR ligandとして多くのトリプトファン代謝物が知られているが、今回筆者らはトリプトファン代謝の下流に位置する化合物が、AhR ligandになり得るのかを検討した。


 その結果、トリプトファン代謝物である3-HKAや3-HAAは、AhRを介してCD4+T細胞でIL-22の産生を促進することが明らかになった。しかし、AhRとの結合は高濃度でないと生じず、直接的なAhRの活性化も認められなかった。


 そこで、3-HAAの代謝物に着目した。
 3-HAAの既存の代謝酵素であるHAAOを抑制したが、IL-22の産生は見られたため、3-HAAには別の代謝経路があると考えられた。そこで同定されたのがCinnabarinic Acid (CA)であった。CAは幾つかのAhR ligandと構造が類似し、AhRを活性化して、内因性AhR ligandのFICZのように代謝されるものであった。またCAによるAhR活性は、他のトリプトファンの代謝産物より弱い活性であったが、マウスでもヒトでも種を超えて同様に見られ、IL-22の産生に関してはCAが優位であった。


 以上より、新しい内因性AhR ligandとしてCAが同定され、CD4+T細胞から炎症を惹起するIL-22の産生を促進することが明らかになった。また、CAは生体内でLPSやIFN-γ等の炎症誘導時に増加していたことから、様々な生理現象に関与している可能性が考えられる。


清松 真理 2014/06/26

閉じる