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Tryptophan-derived microbial metabolites activate the aryl hydrocarbon receptor in tumor-associated macrophages to suppress anti-tumor immunity

トリプトファン由来微生物代謝物が腫瘍関連マクロファージの芳香族炭化水素受容体を活性化し、抗腫瘍免疫を抑制するメカニズムの解明

Kebria Hezaveh, Rahul S Shinde, Andreas Klötgen. et al.
Immunity. 2022 Feb 8;55(2):324-340.e8. doi: 10.1016/j.immuni.2022.01.006.

芳香族炭化水素受容体(AhR)は、トリプトファン代謝産物のセンサーであり、免疫の強力なモジュレーターである。ここでは、膵管腺癌(PDAC)の腫瘍関連マクロファージ(TAM)機能におけるAhRの影響について検討した。

TAMは高いAhR活性を示し、Ahr欠損マクロファージは炎症性の表現型を発現していた。骨髄系細胞におけるAhrの欠失またはAhRの薬理学的阻害は、PDACの成長を抑制し、免疫チェックポイント阻害薬の効果を改善し、IFNγ+CD8+ T細胞の腫瘍内の浸潤を増加させた。マクロファージのトリプトファン代謝は、この効果に必要ではなく、マクロファージのAhR活性は、乳酸菌による食餌性トリプトファンがインドールへ代謝されることに依存するものであった。

食事性トリプトファンの除去は、TAMの AhR活性を低下させ、TNFα+IFNγ+CD8+T細胞の腫瘍内への集積を促進した。食事性インドールの供給は、この効果を抑制した。PDAC患者において、AHRの高発現は、急速な疾患進行および死亡率と同様に、免疫を抑制するTAMの表現型と関連している。



辻 学 2022/01


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