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Quinolinic acid, a tryptophan metabolite of the skin microbiota, negatively regulates the NLRP3 inflammasome through the aryl hydrocarbon receptor in psoriasis

皮膚細菌叢のトリプトファン代謝物であるキノリン酸は、乾癬において芳香族炭化水素受容体を介してNLRP3インフラマソームを負に制御する

Pei Qiao, Chen Zhang, Jinlei Yu Shuai Shao, Jieyu Zhang, Hui Fang, Jiaoling Chen, Yixin Luo, Dalong Zhi, Qingyang Li, Jingyi Ma, Meng Fu, Erle Dang, Wen Yin, Gang Wang
J Invest Dermatol. 2022 Feb 7; S0022-202X(22)00020-3. doi: 10.1016/j.jid.2022.01.010.

乾癬は、慢性炎症性皮膚疾患であり、その病態には皮膚細菌叢の異常が関与している。複数の研究により、乾癬病変部と健常皮膚との間の皮膚細菌叢の変化が明らかにされている。しかし、皮膚細菌叢の代謝経路(特に免疫抑制と密接に関連するトリプトファン代謝)については、ほとんど理解されていない。

本研究では、まず皮膚表面におけるトリプトファンの主要な細菌叢代謝産物を検出し、乾癬患者の病変皮膚ではキノリン酸(QA)が健常者のそれよりも有意に低く、乾癬の重症度と負の相関があることを明らかにした。In vitroおよびin vivoにおいて、QAを塗布すると、芳香族炭化水素受容体(AhR)依存的に皮膚の炎症が著しく抑制され、その結果、NLRP3インフラマソームの活性化が抑制されることが確認された。さらに、イミキモド誘発乾癬様皮膚炎マウスにおいて、AhR small-interfering RNAの局所投与は、NLRP3インフラマソームの活性化させ、皮膚炎の重症度を大幅に悪化させた。

以上のことから、皮膚細菌叢由来の代謝産物であるQAが乾癬患者のAhR-NLRP3インフラマソームシグナル活性化を負に制御し、乾癬患者における細菌叢の代謝と宿主皮膚との間に相関があることが明らかとなった。



辻 学 2021/12


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