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Effects of low-level prenatal exposure to dioxins on cognitive development in Japanese children at 42months.

妊娠中のダイオキシン低容量曝露が42か月の日本人の子どもにおいて認識力の発達に与える影響

Ikeno T, Miyashita C, Nakajima S, Kobayashi S, Yamazaki K, Saijo Y, Kita T, Sasaki S, Konishi K, Kajiwara J, Hori T, Kishi R.
Sci Total Environ. 2018 Mar 15;618:1423-1430. doi: 10.1016/j.scitotenv.2017.09.267. Epub 2017 Oct 7.
PMID: 29017727

背景:
PCDDsやPCDFs、ダイオキシン様化合物の妊娠中曝露は環境化学物質を通して、こどもの神経発達に影響を与えるかもしれない。我々のこれまでの研究で、妊娠中のDLCsと男女とも生後6か月の小児の神経発達に負の相関を認めた。しかし、これらの有害作用がどのくらい続くかはまだわかっていない。

目的:
DLCsの認知機能発達への影響が42か月後まで残存しているか。

方法:
この前向きコホートは日本の札幌で行われ、妊娠中の母親の血液でDLCsを測定した。KABCを用いて42か月時点での子供の認知機能の発達をテストした。141人の母子が最終的に参加した。KABCスコアと母体血DLCsレベルの関係は重回帰分析で評価した。

結果:
7つの異性体、total PCDF、TEQ-PCDF、PCDF、PCDD/DFsのレベルはKABCのachievementスコア(AS)と正の相関をしていた。しかし、total non-ortho PCDFは男児でKABCのMPCSスコアと負の相関があった。女児では、TEQ-dl PCDFとTEQ-PCDD/F/dl-PCBもまた、ASスコアと正の相関を認めた。

考察:
産前のDLS曝露が生後6ヶ月時点で子どもの認知機能に与えていた有害作用は、42ヶ月では確認されなかった。性別でみると、ASとDLCsが女児で正の相関があり、MPCSとDLCsは男児で著明な負の相関があった。



江藤 綾佳 2021/01


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