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Adverse effects of maternal dioxin exposure on fetal brain development before birth assessed by neonatal electroencephalography (EEG) leading to poor neurodevelopment; a 2-year follow-up study.

胎児期及び生後の脳発達に及ぼす母体のダイオキシン暴露の悪影響と新生児の脳波測定による評価:2年のフォローアップ

Nghiem GT, Nishijo M, Pham TN, Ito M, Pham TT, Tran AH, Nishimaru H, Nishino Y, Nishijo H.
Sci Total Environ. 2019 Jun 1;667:718-729. doi: 10.1016/j.scitotenv.2019.02.395. Epub 2019 Feb 27.
PMID: 30849612

我々は以前、ベトナムのアメリカ軍航空基地における周産期のダイオキシン曝露が乳幼児の神経発達へ与える悪影響を報告した。

これまでの研究から母親のダイオキシン曝露が子の脳発達に影響を与え、幼児期の神経発達結果を予測できることが示唆されている。ダイオキシンに汚染された地域の55人の新生児とその母親がベトナムBienHuaの病院でリクルートされた。母乳中のダイオキシンを生後1か月の時点で採取し母体の曝露の指標とした。脳波パワーと電極間コヒーレンスはアクティブな睡眠のステージを記録した新生児EEGで見積もった。EEGパラメーターとダイオキシン曝露マーカーの関係は在胎期間、体長、生まれた時の頭囲で補正した後、線形回帰・一般線形モデルで統計処理した。47人の新生児のデータを用いて、神経発達を2年のフォローアップスタディで調査し、EEGパラメーターと神経発達の関係を交絡因子で補正して統計を行った。

右前頭葉及び頭頂部においてダイオキシン曝露の増加と相関してデルタパワーが有意に減少しα及びβパワーは有意に増加した。右前頭及び頭頂部におけるδ及びαパワーは、2歳児のBayley言語スコアと有意にそれぞれ正相関及び負相関を示した。一方、シータ及びα帯における同一半球内及び半球間のコヒーレンスは、ダイオキシン曝露とそれぞれ正及び負相関があり、さらに右半球における同一半球内コヒーレンスは言語スコアと負相関を示した。

産前のダイオキシン曝露は神経活動及び、脳と領域間の機能的接続性に影響し不十分な言語獲得につながる。



江藤 綾佳 2020/11


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