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Prenatal dioxin exposure and neuropsychological functioning in the Seveso Second Generation Health Study.

Seveso第二世代スタディの出産前のダイオキシン曝露と神経心理学的機能

Ames J, Warner M, Siracusa C, Signorini S, Brambilla P, Mocarelli P, Eskenazi B.
Int J Hyg Environ Health. 2019 Apr;222(3):425-433. doi: 10.1016/j.ijheh.2018.12.009. Epub 2019 Jan 9.
PMID: 30638868

背景:
妊娠中のTCDD曝露は動物モデルで思春期発達、行動、皮質支配、認知に強い影響を与えて脳の性分化を変化させることがわかっている。ダイオキシン様化合物の早い段階での曝露がヒトの神経発生に与える影響は明確になっておらず、さらなる研究が必要である。

方法:
1996年に開始されたSevesoスタディは、1976年7月の産業事故により記録上最もTCDD曝露された居住地域のひとつとなった場所に住む981人のイタリア女性が登録された特徴がはっきりとしたコホートである。2014-2016年において、事故の後に生まれた子供をSeveso第二世代健康調査に登録した。7-17歳(n=161)の子供は、実行機能と逆転学習(ウィスコンシンカード)、非言語的知能(レーヴン漸進的マトリックス)、注意と多動(Connor’s CPT)、記憶(RAVLT)にわたる神経心理学的評価を完了した。ロバスト標準誤差と多変量解析を用いて評価した。

結果:
子供 (男児82、女児79)の平均年齢は13.2歳であった。共変数を調整して、母体血TCDDの10倍増加は、逆転学習・記憶・注意/衝動性・非言語的知能と関連がなかった。性別で階層化したモデルでは、産前のTCDDは男児でより保続的ではないエラーと関連していたが女児では見られなかった(Pint=0.04)。TCDDはまた、短期間の母乳栄養暦のある子供のみでCPTで注意欠陥に関連していた。

考察:
全体として大きな関連はなかった。性別と授乳暦によるTCDDへの神経毒性感受性は今後の研究の根拠となりうる。



江藤 綾佳 2020/10


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