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Modulation of lymphocyte-mediated tissue repair by rational design of heterocyclic aryl hydrocarbon receptor agonists.


複素環式芳香族炭化水素受容体アゴニストの合理的な設計によって、リンパ球が関与する組織修復は調節される。
Chen J, Haller CA, Jernigan FE et al.
Sci Adv. 2020 Jan 15;6(3):eaay8230. doi: 10.1126/sciadv.aay8230. eCollection 2020 Jan.

芳香族炭化水素受容体(AHR)は、腸の免疫の必須調節因子であり、炎症性腸疾患(IBD)の有望な治療標的と考えられている。現在のAHRアゴニストは、低活性、不十分な薬物動態、または毒性のためにトランスレーショナルリサーチには不十分であった。

そこで我々は、構造的に多様なライブラリを合成し、リガンド-受容体相互作用を調節するメカニズムを明らかにし、活性の強い化合物を設計するため、コンピューターを用いた統合解析によって研究を行なった。

その結果、PY109およびPY108という化合物は、物理化学的な薬物類似性、望ましい薬物動態プロファイル、および低毒性であることが分かった。

デキストラン硫酸ナトリウム誘発性大腸炎のマウスモデルでは、経口投与された化合物は、インターロイキン-22(IL-22)産生を増加させ、粘膜の獲得免疫および自然リンパ球の働きを調節することで粘膜の創治癒を促進した。 AHRおよびIL-22経路の誘導は、RNAシーケンスとリンパ球タンパク質間相互作用ネットワークの特性解析によって確認された。 IL-22の有意な誘導は、IBD患者のT細胞においても観察された。

これらの結果は、IBD療法のためにAHRアゴニストを合理的に設計可能であることを示唆する。



辻 学 2020/01


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