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Aryl Hydrocarbon Receptor Modulation by Tuberculosis Drugs Impairs Host Defense and Treatment Outcomes.

抗結核薬による芳香族炭化水素受容体の働きの調節は、宿主の防御機構と治療成績に悪影響を与える。

Puyskens A, Stinn A, van der Vaart M et al.
Cell Host Microbe. 2019 Dec 23. pii: S1931-3128(19)30634-1. doi: 10.1016/j.chom.2019.12.005. [Epub ahead of print]

結核(TB)の抗菌薬耐性(TB)は、世界規模の公衆衛生上の脅威であり、薬剤耐性の増加により状況が悪くなる。

宿主側への治療(HDT)は、TBの補助治療戦略として現在検討されている新しい概念である。潜在的なターゲットの一つとして、リガンド活性化転写因子である芳香族炭化水素受容体(AhR)が挙げられ、AHRはTBの病原性因子に結合し、また宿主の抗菌応答を制御する。

我々は、AhRがリファンピシン(RIF)やリファブチン(RFB)を含むいくつかの抗結核薬と結合し、宿主の防御機構と薬物代謝に影響を与えることを明らかとした。

抗結核薬がAhRに結合すると、AhRによって宿主の防御メカニズムが調節され、特にファゴサイトーシスが低下し、抗結核薬の代謝を早まってしまうことが分かった。in vivoでAhRの働きを阻害すると、RFBによる治療の有効性が高まることが分かった。その結果、AhRは、宿主防御と薬物代謝の両方に影響を及ぼし、抗結核薬の治療効果に著しく影響することが明らかとなった。

従って、AHRはTBにおけるHDTの潜在的な標的であると考えられた。



辻 学 2019/12


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