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Aryl Hydrocarbon Receptor in Keratinocytes is Essential for Murine Skin Barrier Integrity.
Haas K et al. J Invest Dermatol. 2016 Nov; 136(11): 2260-2269. Doi:10.1016/j.jid.2016.06.627.
背景 AhRは皮膚のバリアや免疫機能に関して重要な役割を担っており、ケラチノサイトや線維芽細胞、メラノサイトなどで高発現している。AhRの活性化によってアトピー性皮膚炎や乾癬の炎症を抑制すると考えられているが、AhRの皮膚バリア機能へ与える影響はわかっていない。
要約
●テープストリッピングでマウス角層の上層を除去し、TEWL(経表皮水分蒸散量)の変化を測定した。AhR-KO 1) 、
AhRΔK5 2) ではWT 3) に比べて著明にTEWLが上昇し、24時間後も改善しなかった。AhRΔLC 4) はWTと差がなか
った。マウスの週令が上がるにつれてWTとAhR-KOマウスのTEWLの差は減少した。
●電子顕微鏡で観察すると表皮の厚さはWT、AhR-KO、AhRΔK5において差はなかった。テープストリッピングに
よってAhR-KOでは壊死したケラチノサイト、表皮の海綿状態、基底膜の肥厚がWTマウスより強くみられた。
●WTとAhR-KOマウスの皮膚切片をテープストリッピング前、6時間後、24時間後に採取しマイクロアレイにより解析し
た。ストリッピング6時間後ではケラチン6A、6B、16とIL-1βがAhR-KOにおいて強発現しており、24時間後でも高い
ままだった。またAhR-KOマウスの表皮ではオクルジン、フィラグリン2、インボルクリン、エンボプラキンの発現が
低く、物理的な刺激を与えても上昇しなかった。
●AhR-KOとWTマウスの皮膚切片から細菌のDNAを分離したところ、AhR-KOの皮膚で多種多様な細菌が検出され
た。
●AhRのリガンドを完全に除去した人工飼料(NALD)、NALDにindole-3-carbinol(I3C)を2g/kg加えた人工飼料(ALD)で 飼育したマウスのTEWLを測定すると、NALDで飼育されたWTマウスのTEWLは通常食のAhR-KOのTEWLと同様に 増加した。3ヶ月後食事をALDに変えるとTEWLは回復した。ALDで飼育されたWTマウスのTEWLは正常で、ALDから NALDに変えてもTEWLは正常のままだった。皮膚バリア機能が低下した高齢マウスにALDを与えるとTEWLの回復 が見られた。食事介入によるバリア機能の回復の可能性を示唆している。
1) AhR-KO:AhR完全ノックアウトマウス 2) AhRΔK5:ケラチノサイト特異的AhRのみノックアウト 3) WT:ワイルドタイプ 4) AhRΔLC:ランゲルハンス細胞特異的AhRのみノックアウト
永江 航之介 2016/12/01
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