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Aryl hydrocarbon receptor negatively regulates NLRP3 inflammasome activity by inhibiting NLRP3 transcription

Nature Communications 2014 Aug 20; 5: 4738. DOI:10.1038/ncomms5738.

【要旨】

 NLRP3 インフラマゾームは、多種多様なタンパク質で構成されており、病原体に対する宿主の防御機構において決定的な役割を果たす。NLRP3のタンパク量は、インフラマゾームの活性化を制限する割合に比例し、その発現は免疫能の恒常性を維持するために綿密に制御されていると考えられている。しかしながら、NLRP3の発現を調節する分子学的機構(特に転写レベルでの機構)は、ほとんど知られていない。


 本研究では、腹膜中のマクロファージにおいて、AhRの活性化は、NLRP3の発現、caspase-1の活性化を抑制し、そしてIL-1betaの分泌を減少させることを明らかとした。一方で、siRNAによるAhRのノックダウンでは逆の現象がみられた。AhRはNLRP3のプロモーター領域にあるxenobiotic response elementに結合が可能で、NLRP3の発現を転写レベルで抑制した。さらに、AhRの活性化はin vivoでアルミニウム誘導性の腹膜炎を抑制した。従って、AhRはNLRP3の発現を転写レベルで抑制する負の制御因子であることが同定された。


 以上より、AhRは制御不可能なインフラマゾームの活性化を伴う疾患の治療において有益なターゲットであることが示唆された。


辻 学 2014/12/1

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