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Congener-specific polychlorinated biphenyls and the prevalence of diabetes in the Saku Control Obesity Program (SCOP).

Endocrine Journal. 2011, 58(7),589-596

【要旨】

近年糖尿病が世界的に増加している。その危険因子として食事や運動不足、太りすぎ、肥満に加え、ダイオキシンやPCBsといった難分解性有機汚染物質の関与も言われているが、まだ議論の余地を残している。


本研究では日本における「佐久肥満克服プログラム:SCOP」に参加している中年層、過体重、肥満の人たちを対象に血中PCBコンジナー濃度と糖尿病有病率の関係を調査した。


117名の参加者について定期検診の際にコンジナー特異的PCBレベルを測定した。糖尿病の有無は次の二つの基準で定義した。①明らかな糖尿病;HbA1c6.9%以上またはすでに糖尿病治療薬を服用している、②全糖尿病;HbA1c6.5%以上、空腹時血漿血糖126mg/dL以上または医師による糖尿病診断歴がある。


性別、年齢、BMIと総脂質を調整した多重ロジスティック解析を行い、糖尿病有病率はPCB146とPCB180では正の関連を、PCB163/164では負の関連を認めた。PCB180とPCB163/164については糖尿病の二通りの基準あるいは脂質調整した場合のPCB濃度に関わらず有意差を示しており、これらが糖尿病のリスクを修飾している可能性が示唆された。


塚本 美鈴 2012/7/4

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