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Effects of Quercetin and Chrysin on 2,3,7,8-Tetrachlorodibenzo-p-dioxin Induced Hepatotoxicity in Rats
Environ Toxicol 2011, on line
【要旨】
本研究では、フラボノイドであるケルセチン (Quercetin: Q) とクリシン (Chrysin: CH) が,TCDD 誘導性の肝障害を改善できるか、ラット (♂) を用いて検討した。
その結果、TCDD によって認められた MDA (脂質過酸化の指標) の増加および GSH、CAT、GSH-Px、CuZn-SOD (抗酸化酵素など) の減少が、Q および CH によって改善された。また、組織染色により、TCDD による組織障害 (評価:細胞死,空胞化) も Q および CH によって軽減されることが示された。
以上の結果より、Q および CH は TCDD 誘導性の肝障害を抑制することが明らかになった。したがって、Q および CH は新規 TCDD 毒性改善薬になる可能性が示唆された。
【Keywords】
・TCDD: 2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin. ダイオキシン類の一つ。
・Quercetin (Q): フラボノイドの一種。AhR のリガンドとしてantagonisticに作用すると報告されている。多く含まれる食品として赤(紫)玉ねぎ、ブドウ、リンゴ、ベリー類、さくらんぼ、ブロッコリー、柑橘類、ケイパー、ラビッジなどが知られている。
・Chrysin (CH): フラボノイドの一種。AhRのリガンドとしてagonisticに作用すると報告されている。多く含まれる食品としてハチミツ、プロポリスなどが知られている。
・MDA: malondialdehyde。膜の主要構成リン脂質である PC、PE などの過酸化物の代謝産物。脂質過酸化の指標として用いられている。
・GSH: glutathione。抗酸化物質
・CAT: catalase。抗酸化酵素
・GSH-Px: glutathione peroxidase。抗酸化酵素
・CuZn-SOD: copper- and zinc-containing superoxide dismutase。抗酸化酵素
【試薬処理条件】 ※溶媒はすべて corn oil を用い,経口投与を行った.(投与期間:60 日)
・TCDD: 2 μg/kg/week
・Quercetin: 20 mg/kg/day
・Chrysin: 50 mg/kg/day
古賀 沙緒里 2011/6/3
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