2,3,7,8-Tetrachlorodibenzo-p-dioxin alters sebaceous gland cell differentiation in vitro

Exp Dermatol 2011;20:320-5.

【要旨】
ダイオキシン中毒（塩素痤瘡）では組織学的に脂腺小葉の萎縮，脂腺細胞の減少がみられ，臨床的に皮脂の産生低下が認められる。著者らは脂腺細胞の細胞株（SZ95）を用いて，ダイオキシンが脂腺細胞の分化に及ぼす影響について検討した。
TCDDはSZ95の中性脂肪産生を抑制した。さらにTCDDはSZ95のEMA，K7の発現を減弱させ，K10，PPARδの発現を増強した。
EMAは成熟脂腺のマーカーであり，K7は未分化脂腺細胞に発現するとされる。一方，K10，PPARδは角化細胞の分化を示すマーカーとされる。
以上のことから，TCDDは脂腺細胞を角化細胞様に分化させると考えられた。

TCDD: 2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin
EMA: epithelial membrane antigen
K7: keratin 7
K10: keratin 10
PPARδ: peroxisome proliferation activated receptorδ

内　博史　2011/5/6