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Aryl hydrocarbon receptor is an ozone sensor in human skin

J Invest Dermatol 2009;129:2396-403.

【要旨】
オゾンは光化学スモッグの原因となる極めて強い酸化力を持つ物質である。オゾン曝露により皮膚は熱ショックタンパク質,COX-2,MMP-9などを産生し炎症反応が誘導される。著者らは正常ヒト表皮ケラチノサイトをオゾンに曝露しaryl hydrocarbon receptor (AhR)への影響を検討した。
オゾンはケラチノサイトのCYP1A1, CYP1A2, CYP1B1の発現を誘導し,またAhRの核内への移行を誘導した。さらに上皮成長因子受容体(EGFR)のリン酸化,およびその下流のMAPK経路,PI3K/Akt経路を活性化した。AhRのsmall interfering RNA (siRNA)をケラチノサイトにトランスフェクトしAhR遺伝子発現を抑制すると,オゾンによるCYP1の発現誘導は遺伝子レベルおよび蛋白レベルで阻害されたが,EGFR siRNAによるEGFR遺伝子の発現抑制ではオゾンによるCYP1の発現誘導に影響を与えなかった。以上,オゾンがAhRを介してCYP1の発現を誘導することが明らかになった。
詳細な機構は今後の研究によるが,オゾンの毒性の一部はAhRにより仲介されていると考えられる。

内 博史 2010/04/05

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