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Endothelial AHR activity prevents lung barrier disruption in viral infection

内皮細胞のAHR活性はウイルス感染による肺バリアの破壊を阻止する

Jack Major , Stefania Crotta, Katja Finsterbusch , Prob irChakravarty , Kathleen Shah , Bruno Frederico , Rocco D'Antuono , Mary Green, Lucy Meader , Alejandro Suarez-Bonnet , Simon Priestnall, Brigitta Stockinger, Andreas Wack
Nature. 2023 Sep;621(7980):813-820. doi: 10.1038/s41586-023-06287-y.

呼吸器ウイルス感染後の肺内皮-上皮細胞バリアの破壊は、気腔内に細胞と体液の浸潤を引き起こし、重要なガス交換機能を損なう。内皮機能不全は組織損傷を悪化させる可能性があるが、肺内皮がウイルス病原体に対する宿主の耐性を促進するかどうかは不明である。今回我々は、環境知覚器であるアリール炭化水素受容体(AHR)が肺内皮細胞において非常に活性が高く、インフルエンザ誘発性の肺血管漏出を防ぐことを示す。

内皮における AHR の損失は肺の損傷を悪化させ、赤血球と白血球の肺胞空隙への浸潤を促進する。さらに、内皮 AHR が欠損している場合、バリア保護が損なわれ、二次細菌感染に対する宿主の感受性が増加する。AHR は、血管作動性アペリン-APJ ペプチド系4を含む内皮の組織保護転写ネットワークに関与し、気道上皮細胞における異形成およびアポトーシス反応を防ぐ。

最後に、肺内皮細胞における防御的な AHR シグナル伝達が感染そのものによって減衰することを示す。AHRの保護機能を維持するには、天然に存在するAHRリガンドが豊富な食事が必要であり、肺内皮の疾患耐性経路を活性化して組織損傷を防ぐ。我々の発見は、肺バリア免疫における内皮機能の重要性を実証している。私たちは、ウイルス病原体と遭遇後の肺損傷に影響を与える腸と肺の軸を特定し、食事の組成と摂取を宿主の体力や疾患転帰の個人差と関連付けている。



四本 周 2024/02


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