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Effects of Investigational Moisturizers on the Skin Barrier and Microbiome following Exposure to Environmental Aggressors: A Randomized Clinical Trial and Ex Vivo Analysis

環境加害物への曝露後の皮膚バリアと微生物叢における治験用保湿剤の効果:ランダム化臨床試験とEx Vivo解析

Dan-Qi Wang , Xi Li , Ru-Yi Zhang, Chao Yuan , Bo Yan , Philippe Humbert , Zhe-Xue Quan
J Clin Med. 2023 Sep 20;12(18):6078. doi: 10.3390/jcm12186078.

皮膚微生物叢のバリアは、物理的、化学的、免疫学的保護バリアに加えて、皮膚のバリア機能にも関与しており、環境加害物やスキンケア療法の影響を受ける。

実際の環境条件が皮膚に及ぼす正確な影響をより深く理解し、保護方法を決定するために、この研究では 3つの局所化粧品保湿剤 (酵母エキスを含む/含まない水ゲル保湿剤 (保湿剤 K および C) と濃厚な保湿剤(保湿剤 L)) の効果を調査した。臨床及び皮膚微生物叢の評価は、8週間の環境加害物の存在下での110人の参加者によるランダム化比較三重盲検臨床試験で行い、分子レベル -バイオマーカーとして- の評価は郊外環境に似せた状況に曝露したex vivo皮膚外植片で行った。

結果として、すべての保湿剤は忍容性が高く、ベースラインから皮膚のバリア機能と表面水分含量を改善し、その改善が最後の分析時点(試験完了後 3 日)でも維持されていることが示された。未治療の対照部位(胸部上部から採取したサンプル)と比較し、治療した領域(額から採取したサンプル)において、保湿剤Kでの治療は細菌および真菌の量の減少を防ぎ、表皮ブドウ球菌やラルストニアなどの共生細菌の相対存在量の変化率を増加させた。

さらに、保湿剤Kで治療した ex vivo 皮膚外植片では、他の保湿剤で治療した外植片や未治療の皮膚部位に比べて、カスパーゼ 14 (皮膚バリア機能のマーカー)、コラーゲン I、エラスチン (構造成分) のレベルが高く、アリール炭化水素受容体 (AHR; 大気汚染物質によって活性化される)とインターロイキン-6 (IL-6)のレベルが低かった。

これらの結果は、酵母エキスを含む皮膚ポストバイオティック保湿剤が、皮膚微生物叢の調節をサポートし、環境加害物から皮膚を保護するための総合的なバリア(皮膚微生物叢、物理的、化学的、免疫バリアを含む)を提供する可能性があることを示唆している。



四本 周 2024/02


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