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Comparison of Hepatic NRF2 and Aryl Hydrocarbon Receptor Binding in 2,3,7,8-Tetrachlorodibenzo- p-dioxin-Treated Mice Demonstrates NRF2-Independent PKM2 Induction

2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-p-ダイオキシンで処理したマウスの肝細胞におけるNRF2と芳香族炭化水素受容体の結合の比較は、NRF2非依存性のPKM2の誘導を実証する

Rance Nault , Claire M Doskey , Kelly A Fader , Cheryl E Rockwell, Tim Zacharewski
Mol Pharmacol. 2018 Aug;94(2):876-884. doi: 10.1124/mol.118.112144.

2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-p-ダイオキシン (TCDD) は、アリル炭化水素受容体 (AhR) を活性化し、肝臓の酸化ストレスを誘発する。我々の最近の研究で、正常に分化した肝細胞における新しい抗酸化反応として、TCDDがピルビン酸キナーゼ筋アイソフォーム2(Pkm2 )を誘導することを示した。

Pkm2の誘導における核因子、赤血球由来 2、関連因子 2 ( Nrf2 ) と AhR の協調制御を調べるため、肝臓におけるクロマチン免疫沈降シーケンス (ChIP-seq) 解析を、 TCDDで2~168時間処理したマウスのRNA シーケンス (RNA-seq) の経時データと統合した。

TCDD処理から2時間後のChIP-seq分析により、ゲノム全体のNRF2濃縮が確認された。約 842 の NRF2 が濃縮された領域は差次的発現遺伝子 (DEG) の調節領域に位置していたが、579 の DEG は NRF2 と AhR の両方が濃縮されていた。NRF2 と AhR の濃縮が重複する領域のシークエンス解析では、抗酸化物質かダイオキシン応答要素の過剰発現が示された一方、18 の領域が両方のモチーフを持っていた。NRF2 は閉じたPkmクロマチン領域内で無視できるほどの濃縮を示したが、AhR は 29 倍濃縮された。さらに、TCDDは野生型マウスとNrf2欠損マウスの初代肝細胞においてPkm2を誘導し、NRF2が必要ないことを示した。NRF2 と AhR は協調して多くの抗酸化遺伝子発現応答を制御するが、TCDD によるPkm2の誘導は活性酸素種を介した NRF2 活性化とは独立している。



四本 周 2024/02


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