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Aryl hydrocarbon receptor restricts axon regeneration of DRG neurons in response to injury

アリール炭化水素受容体は損傷に応答したDRGニューロンの軸索再生を制限する

Yiqun Wang, Dalia Halawani, Molly Estill, Aarthi Ramakrishnan, Li Shen, Roland H Friedel, Hongyan Zou
bioRxiv. 2023 Nov 5:2023. doi: 10.1101/2023.11.04.565649.

損傷したニューロンは環境中のシグナルを感知して神経保護と軸索再生のバランスをとるが、そのメカニズムは不明である。 今回我々は、リガンド活性化bHLH-PAS転写因子であるアリール炭化水素受容体(AhR)が、軸索再生を犠牲にして急性ストレス応答の分子センサーおよび重要な制御因子として機能していることを明らかにした。 今回の研究から、DRG感覚ニューロンがリガンドを介したAhRシグナルに応答して軸索再生を抑制していることがわかった。

Ahrの欠失は、軸索形成遺伝子プログラムを開始するDRGのプライミングにおける条件付け病変と同じパターンを示す。末梢軸索切断時、Ahr欠失は神経における炎症とストレスシグナルを抑制する一方で、成長促進経路を増強する。さらに、トランスクリプトミクス解析を用いて比較したところ、二量体化パートナーであるArnt/HIF-1βを共有し、構造的に関連する2つのbHLH-PAS αユニットであるAhRとHIF-1αの間のシグナル伝達相互作用が明らかとなった。 機能的実験によって、AhR 欠損 DRG ニューロンの成長には HIF-1α が必要であることが示された。 しかしながら、Arnt の非存在下であってもDRG ニューロンは再生応答を開始することが可能であった。

この研究で著者たちはさらに、bHLH-PAS転写因子と末梢軸索切断に応答したDNAヒドロキシメチル化との関連を明らかにするとともに、神経細胞を用いたsingle cell RNA-seq解析により、AhRレギュロンとRNAポリメラーゼIII制御および統合ストレス応答(ISR)との関連を明らかにした。

まとめると、AhR の活性化は軸索の再生を犠牲にしてストレス応答と炎症を促進する。 AhR をターゲットとして神経修復を促進できる可能性がある。



山村 和彦 2024/02


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