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Kynurenine attenuates mitochondrial depolarization and neuronal cell death induced by rotenone exposure independently of AhR-mediated parkin induction in SH-SY5Y differentiated cells

KynurenineはSH-SY5Y細胞においてAhRを介したParkin誘導とは独立してRotenone曝露により誘発されるミトコンドリア脱分極と神経細胞死を軽減する

Rosario García-Aguilar, Arturo Ortega, Esther López-Bayghen, Leticia Ramírez-Martínez, Ada Rodriguez-Campuzano, Fátima Murillo-González, Guillermo Elizondo, Libia Vega
Neurotoxicology. 2023 Dec:99:282-291. doi: 10.1016/j.neuro.2023.11.007.

Rotenoneは農業で一般的に使用される農薬で、ミトコンドリア損傷を誘発することによりパーキンソン病 (PD) を発症するリスクと関連することが知られている。 さまざまな刺激に対する細胞の防御反応として、Parkinの活動性を含むマイトファジーは活性化される。 Parkin はマイトファジーの初期段階で必要な E3 ユビキチン リガーゼであり、その過剰発現によってさまざまな疾患モデルでパーキンソン病の影響が抑制される。 最近の研究では、リガンド依存性転写因子であるアリール炭化水素受容体 (AhR) がParkinの発現を誘導することが報告されている。

内因性 AhR リガンドであるKynurenineは、PD などの慢性神経変性疾患における神経保護を促進するが、その神経保護メカニズムはまだ完全には明らかとなっていない。 そこで、ドーパミン作動性ニューロンに分化したSH-SY5Y細胞において、KynurenineによるAhR活性化によって引き起こされるParkinの過剰発現がオートファジーを促進し、Rotenoneによって誘発される神経毒性を軽減するかどうかを評価した。

SH-SY5Y 細胞をKynurenineまたは 2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-p-ダイオキシン (TCDD) で前処理を行った上で、Rotenoneで刺激し、Parkinの発現、アポトーシス、ミトコンドリア電位膜、およびオートファジーを測定した。その結果、KynurenineおよびTCDD処理がAhR依存的にParkin発現を誘導することがわかった。 Rotenone単独と比較した場合、Kynurenine前処理はRotenone誘発性ニューロンアポトーシスを 17% 抑制し、ミトコンドリア膜電位の損失を 30% 抑制し、さらにオートファジーも減少させた。 対照的に、TCDD刺激はParkinの発現を増加させたが、神経保護効果は見られなかった。 Kynurenineの神経保護作用は AhR とは独立し、Parkinの誘導はこの効果に関与していない可能性が示唆された。 一方、Kynurenine処理は、Rotenone曝露によって活性化されるよく知られた興奮毒性メディエーターであるアルファアミン-3-ヒドロキシ-5-メチル-4-イソオキサゾールプロピオン酸およびN-メチル-D-アスパラギン酸受容体を阻害した。



山村 和彦 2024/02


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