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UVB-mediated DNA damage induces matrix metalloproteinases to promote photoaging in an AhR- and SP1-dependent manner

UVBによるDNA損傷は、AhRおよびSP1依存的にマトリックスメタロプロテアーゼを誘導して光老化を促進する

Daniel J Kim, Akiko Iwasaki, Anna L Chien, Sewon Kang
JCI. Insight. 2022 May 9;7(9):e156344. doi: 10.1172/jci.insight.156344.
PMID: 35316219 PMCID: PMC9090247

現在、一般的にUVBは、ROSを産生することで、皮膚に光老化を引き起こすと、考えられている。この説では、ROSがactivator protein 1 (AP1)を活性化させることで、MMPs1,3,9産生が亢進し、コラーゲンや、細胞外マトリックスが減少することで、しわが形成されると言われている。しかしながら、MMP1, 3, 9の産生は比較的少なく、しわとの相関も乏しいことから、ROSやMMP1,3,9以外の、別のメカニズムの方が、より直接的に光老化に影響している可能性がある。

今回、筆者らは、4型コラーゲンを分解するMMP2が、ヒト皮膚に豊富に存在し、日光を浴びた皮膚においては、加齢とともに増加し、UVにより活性化されるAHRの発現と強く相関することを示した。また、HaCaT(不死化したヒト表皮細胞)を用いた検討で、AHRと、AHR経路の下流にある、specificity protein (SP1)が、光老化によるDNA損傷を誘導し、MMP1, 3ではなく、MMP2, MMP11を誘導することを明らかにした。さらに、AHR抗剤であるビタミンB12、葉酸が、マウスにおいて、MMP2の皮膚発現を減少させ、UVBによるしわを改善した。これらの結果は、光老化におけるDNA損傷にAHR, SP1が直接的に関与していることを示しており、AHRがしわを防ぐ治療ターゲットになり得ることを明らかにした。



冬野 洋子 2023/02


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