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Associations of microbial and indoleamine-2,3-dioxygenase-derived tryptophan metabolites with immune activation in healthy adults

健常成人における微生物およびインドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ由来トリプトファン代謝物の免疫活性化との関連性

Niknaz Riazati, Mary E Kable, John W Newman, Yuriko Adkins, Tammy Freytag, Xiaowen Jiang, Charles B Stephensen
Front Immunol. 2022 Sep 29;13:917966. doi: 10.3389/fimmu.2022.917966. eCollection 2022.

背景:
腸内細菌由来のトリプトファン(Trp)代謝物(インドール、インドール酢酸[IAA]、インドールプロピオン酸[IPA])、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)経路からのTrp代謝物キヌレニン(Kyn)はアリル炭化水素受容体(AhR)作動薬であり、AhR経路を介して免疫を制御できることが分かっている。我々は、健康な成人の集団において、これらの代謝物の血漿中濃度が、AhRを介した免疫調節能と一致して、免疫活性化のマーカーと関連すると仮定した。また、IDO活性のマーカーである血漿中のKyn/Trp比は、自然免疫細胞におけるIDO活性化を反映する免疫マーカーと関連すると仮定した。最後に、腸内細菌の一部は、血漿中のインドール、IPA、IAAと関連し、これらの細菌自体が免疫マーカーと関連すると仮説を立てた。

方法:
健康な成人362人を対象に、88の新規免疫マーカーと血漿中Trp代謝物を測定した。便中の細菌は16S rRNA遺伝子解析により同定された。重回帰分析により、免疫マーカーとの有意な関連性を同定した。

結果:
インドールおよびIAAの合計は、ナチュラルキラーT細胞レベルと正の相関を示した。KynおよびKyn/Trpは、1型免疫のマーカーであるネオプテリンおよびIP-10、急性期反応のマーカーであるTNF-αおよびC反応性タンパク質(CRP)、調節サイトカインであるIL-10と正の相関があった。Trp代謝産物と負の相関を示した3つの細菌は、免疫と関連して以下のような特徴を有していた: ①Lachnospiraceae科はリンパ球数が多いが活性化CD4 +T細胞レベルが低い、②Dorea属は末梢血単核球を培養した際にT細胞によるIFN-γの産生が高い、③Ruminococcus属は細菌リポ多糖(LPS)で刺激した際、末梢血単核球によるIL-6の産生が高い

結論:
健康な成人の集団において、細菌のTrp代謝産物は、免疫マーカーと強い関連はなかった。一方で、Kyn/Trp比は、全身性炎症および急性期反応のマーカーと強く関連しており、自然免疫細胞におけるIDOの活性化と一致した。重要な点として、血漿中(そしておそらく腸内)Trp代謝物レベルが低い常在菌は、より大きな免疫活性化と関連していた。これはおそらく腸内細菌インドール代謝物レベルの低さに関連した制御性免疫活性が減少していることを反映していると考えられた。



山村 和彦 2022/11


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