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Human β-defensin- 3 attenuates atopic dermatitis-like inflammation through autophagy activation and the aryl hydrocarbon receptor signaling pathway

ヒトβ-ディフェンシン-3はオートファジー活性化とアリル炭化水素受容体シグナル伝達経路を介してアトピー性皮膚炎様炎症を抑制する

Ge Peng, Saya Tsukamoto, Risa Ikutama, Hai Le Thanh Nguyen, Yoshie Umehara, Juan V Trujillo-Paez, Hainan Yue, Miho Takahashi, Takasuke Ogawa, Ryoma Kishi, Mitsutoshi Tominaga, Kenji Takamori, Jiro Kitaura, Shun Kageyama, Masaaki Komatsu, Ko Okumura, Hideoki Ogawa, Shigaku Ikeda, François Niyonsaba
J Clin Invest. 2022 Sep 1;132(17):e156501. Doi: 10.1172/JCI156501.

ヒトβ-ディフェンシン-3(hBD-3)は抗菌・免疫調節活性を示すが、オートファジー調節への寄与は不明であり、アトピー性皮膚炎(AD)における皮膚バリアの調節におけるオートファジーの役割は十分に理解されていない。AD患者およびADマウスモデルの皮膚病変においてケラチノサイトのオートファジーは抑制されているが、興味深いことにhBD-3は、ケラチノサイトのアリル炭化水素受容体(AhR)シグナルが関与するオートファジー活性化を介して、IL-4およびIL-13によって引き起こされたタイトジャンクション(TJ)バリアの障害を緩和した。オートファジーの欠損が皮膚バリアを損ない炎症を悪化させる一方で、hBD-3はオートファジーの活性化を介してADの皮膚炎を抑制し、TJバリアを増強させることがわかった。重要な点として、hBD-3によるTJバリアの改善は、オートファジー欠損ADマウスおよびAhR抑制ADマウスでは消失した。

このことからADにおける皮膚バリアと炎症の調節にhBD-3を介したオートファジーが関与していることが示唆された。このように、オートファジーはADの病態に寄与しており、hBD-3は今後創薬ターゲットとなる可能性がある。



山村 和彦 2022/10


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