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Transcriptomic Analysis of Human Keratinocytes Treated with Galactomyces Ferment Filtrate, a Beneficial Cosmetic Ingredient.

<化粧品原料として有用なガラクトミセス発酵液で処理したヒトケラチノサイトのトランスクリプトーム解析>

Nakajima A, Sakae N, Yan X, Hakozaki T, Zhao W, Laughlin T, Furue M.
J Clin Med. 2022 Aug 9;11(16):4645. doi: 10.3390/jcm11164645.

ガラクトミセス発酵液(GFF、ピテラTM)は、その保湿剤の外用で赤みや毛穴を小さくするなどの多数のスキンケア効果がある化粧品原料として知られている。GFFはアリル炭化水素受容体(AHR)に対する抗酸化作用のあるアゴニストとして一部知られているが、ケラチノサイト生物学における意義は十分にはわかっていない。本研究では、GFFで処理したヒトケチノサイトのトランスリプトーム解析を行った。

三種類の異なるGFFのロットは、AHR活性化のための特定の下流遺伝子であるチトクロームP450 1A1(CYP1A1)のアップレギュレーションを含む、99個の遺伝子(22個はアップレギュレーション、77個はダウンレギュレーション)を一貫して変えた。GFFはまた、小さなプロリンリッチタンパク質1Aおよび1B(SPRR1AおよびSPRR1B)などの表皮分化/バリア関連遺伝子や、セルピン(SERPINB2)などの創傷治癒関連遺伝子の発現を促進させた。タイトジャンクションの構成要素であるクローディン1(CLDN1)およびクローディン4(CLDN4)をコードする遺伝子も、GFFで処理したケラチノサイトでアップレギュレーションした標的遺伝子であった。一方で、三種類のGFFのロットは、ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド14(CXCL14)および、インターロイキン6受容体(IL6R)などの炎症関連遺伝子の発現を一貫してダウンレギュレーションした。

これらの結果は、ケラチノサイトの恒常性を維持する上で、GFFの有益な特性を浮き彫りにしている。



今嶋 真緒 2022/08


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