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AHR is a master regulator of diverse pathways in endogenous metabolism.

<AHRは内因性代謝の多様な経路のマスターレギュレーターである>

Granados JC, Falah K, Koo I, Morgan EW, Perdew GH, Patterson AD, Jamshidi N, Nigam SK.
Sci Rep. 2022 Oct 5;12(1):16625. doi: 10.1038/s41598-022-20572-2.

アリル炭化水素受容体(AHR)は、解毒、発生、免疫応答、慢性腎臓病、その他の症候群などに関与する転写因子である。AHRは、代謝物やシグナル伝達分子を介した臓器間コミュニケーションに関与するリモートセンシングとシグナル伝達ネットワークで提案された、薬物トランスポーターや薬物代謝酵素の発現を調節している。ここでは、臓器から細胞小器官への複数のスケールに渡る代謝への寄与の分析に、オミクスアプローチを使用している。

AHR-/-マウスのグローバルなメタボローム解析により、脂肪酸や、胆汁酸、腸内細菌産物、抗酸化物質、コリン誘導体、尿毒症毒素に影響を与える多くの生化学経路に関与する290種類の代謝物の調整におけるAHRの役割が明らかになった。ケモインフォマティクス解析により、AHRは代謝物の疎水性の決定する役割やおそらくトランスポーターを介した組織内外の移動を担っている。

既知のAHRリガンドでは、インドールプロピオン酸は唯一有意に変化した分子であり、ヒトとマウスの両方の細胞でAHRを活性化した。AHRのより深い生物学的理解を得るために、私たちはゲノムスケールの代謝再構成法を用いて、ノックアウトトランスクリプトミクスとメタボロミクスデータを統合し、有機酸と酸化還元状態の制御におけるAHRの役割を示した。併せて、AHRは多臓器間や複数のスケールに渡る代謝やシグナル伝達において中心的な役割を担っていることが示された。



今嶋 真緒 2022/07


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