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A dysregulated sebum-microbial metabolite-IL-33 axis initiates skin inflammation in atopic dermatitis.

アトピー性皮膚炎において皮脂-微生物代謝物-IL-33軸の制御異常が皮膚の炎症を引き起こす

Qiu Z, Zhu Z, Liu X, Chen B, Yin H, Gu C, Fang X, Zhu R, Yu T, Mi W, Zhou H, Zhou Y, Yao X, Li W.
J Exp Med. 2022 Oct 3;219(10):e20212397. doi: 10.1084/jem.20212397.

皮膚におけるdysbiosisは、アトピー性皮膚炎(AD)の発症に関与しているとされているが、皮膚マイクロバイオームの変化が皮膚の炎症を引き起こすのか、あるいはその逆なのかは、まだ十分に理解されていない。今回、我々は、AD患者の皮膚表面において、皮脂とその微生物代謝物であるプロピオン酸の濃度が健常者と比較して低いことを報告した。

プロピオン酸の外用は、MC903誘発AD様皮膚炎マウスの皮膚の炎症を、ケラチノサイトのIL-33産生を抑制することにより減弱させ、この効果はHDAC阻害とAhRシグナル経路の制御を介していた。また、皮脂が不足しているマウスでは、AD様皮膚炎が自然発生し、プロピオン酸の外用により改善された。さらに、臨床試験により、AD患者におけるプロピオン酸外用剤の有益な治療効果が示された。

以上のことから、我々は、皮脂-微生物代謝物-IL-33軸の制御異常が、ADに関連する皮膚の炎症の初期に関与している可能性を明らかにし、AD治療のための新規治療戦略を明らかにした。



四本 周 2022/06


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