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Functional Characterrization and Gene Expression Analysis of CD4+CD25+ Regulatory T Cells Generated in Mice Treated with 2,3,7,8-Tetrachlorodibenzo-p-Dioxin

Marshall NB et al.
The Journal of Immunology. 2008 Aug 15;181(4):2382-91.

【要旨】
TCDDの作用はAhRによって仲介されるが、その免疫抑制作用に関するメカニズムは十分に解明されていない。TCDD曝露したB6D2F1マウスにB6を移植しても急性の移植片対宿主反応は見られないが、最近この現象にin vitroで抑制効果があるCD4+CD25+T細胞の出現が関与していることが示されている。
今回の研究における目的は、これらTCDD曝露CD4+T細胞を自然の制御性CD4+T細胞と比較対照することである。細胞の不応答、抑制機能、サイトカイン産生に関して検討が行われた。今回の研究において、TCDD曝露したCD4+細胞は様々な刺激に対する反応を増強する一方、IL-2の産生やエフェクターT細胞の増殖を抑制することが確認された。自然の抑制性T細胞の様に、TCDD曝露したCD4+細胞はIL-2を産生せず、これらの抑制機能は接触依存性で,GITRを介した副刺激により無効化された。TCDD曝露CD4+細胞は多クローン性、アロ抗原の刺激応答によりIL-10を大量に分泌した。TCDD曝露CD4+細胞においてTGF-b3、Blimp-1、granzyme B,IL12-Rb2シグナル経路と関連する遺伝子の上昇が確認された。またTCDD曝露CD4+細胞はIL-12への反応性が上昇していることが明らかにされた。TCDD曝露CD4+細胞の2%にしかFoxp3の発現を認めないことより、AhRの抑制効果はFoxp3に依存しないことが示唆された。TCDDによって活性化されたAhRを介した制御機能を持つCD4+細胞の産生は,制御性T細胞の誘導における新しい経路を示すものかも知れない。


平成21年9月3日 穐山 雄一郎

Key words:

  • GITR (glucocorticoid-induced tumor necrosis factor receptor): 
    制御性T細胞に比較的特異的に発現する受容体。この受容体を介した刺激により,制御性T細胞の抑制性機能は阻害される。
  • Foxp3: 制御性T細胞特異的な転写因子。


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