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Interleukins 1beta and 6 but not transforming growth factor-beta are essential for the differentiation of interleukin 17-producing human T helper cells.

Acosta-Rodriguez EV, Napolitani G, Lanzavecchia A, Sallusto F.
Nature Immunology 2007 Sep;8(9):942-9.

IL-17を産生するCD4陽性ヘルパーT細胞(Th17細胞)は自己の防衛や自己免疫疾患に関連している。マウスにおいて、Th17細胞の分化にはTGF-β、IL-6および転写因子であるRORγが必要であることが既に報告されている。今回この論文では、ヒトCD4陽性ナイーブT細胞におけるRORγの発現やTh17の分化は、IL-1βにより引き起こされ、IL-6により増強されるが、TGF-βやIL-12により抑制されたと報告されている。単球や定常型樹状細胞は微生物の刺激(LPSやペプチドグリカン)により大量のIL-1β、IL-6を産生し、IL-12をあまり産生しないため、効率よくTh17分化を引き起こす抗原提示細胞であると言え、また一方で単球由来樹状細胞は、微生物の刺激によりIL-1βやIL-6ではなく、IL-12を産生しTh17分化には関連しない。

抗IL-1β抗体、抗IL-6抗体、caspase-1阻害剤を使用した抑制実験では実際にTh17分化の抑制が確認されている。この研究によりサイトカイン、抗原提示細胞、微生物生産物におけるヒトTh17細胞の分化・誘導が確認され、またヒトとマウスにおけるTh17細胞分化の必要条件が異なることが強調されている。

平成21年3月31日 穐山雄一郎

Key words:

  • LPS、ペプチドグリカン;細菌特有の構造。外来の病原菌が侵入してきた際に抗原提示細胞が察知する目安となる。
  • caspase-1;IL-1βを放出するのに必須の酵素。
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